親が、如月のことを人に紹介するときに。




「本当にバカ息子で困っております」


とか、


「どうしようもないバカで」



みたいなことを、事あるごとに言われて育った。



子供の頃から、ずうっとそうだった。




だから、人に身内のこと、例えば子供たちのことを紹介するときに、無意識のうちに



「うちの残念な息子たちが」



みたいなことを、言わなければいけない、それが礼儀なのだろうと、無意識のうちに思ってきた。


もちろん、自分の親ほどには言わないが、それが暗黙のマナーなんだなと。


むしろ、そういう風に言わなければいけないという、強迫観念すらあったのかもしれない。






「愚妻」という言葉がある。



調べてみたら、面白いことがわかった。



「私の愚かな妻」



という意味ではなく、



「こんな愚かな私と一緒にいてくれる、できた妻」



というのが本当の意味らしい。



むしろ、自分を卑下している言葉だったのだ。





それを知ってから。


「(僕みたいな)アホの子で、そんなに賢くなるかどうか…」


というように、今度は心の中で自分を卑下して使うようになっていた。




しかし、当たり前なのだけど。



「アホの子」という言葉を聞いた側は、自分の子を落としているように聞こえる。






そして。



妻の親戚の方から、そんな悲しいことを言うなときちんと指摘された。


「琉くんの子たちは、アホなんかじゃない」


と言われた。



如月的には、落としているのは自分なのだからいいじゃないか的な考えがあるのだけど、きっと論点はそんなところではないのだと思う。


自分だろうとなんだろうと、そういうことを言うなということなのだ。






あんなに似たくなかったのに。




結局、親の一番嫌いなところを引き継いでいるんだと、ハッとした。



つくづく、自分がイヤになった。




自分には家族なんてものがずっといなかったから意識すらしていなかったし、卑下していると言っても親の何分の一だとか思っていたが、人から見たら同じだし、不快なだけだったのである。




反省した。




当たり前だけど、子供たちのことをアホだなんて思っていない。



でも確かに、妻側の親戚の皆さんで、そういうふうに身内を紹介している人はいなかった気がする。



こっちの家側の、悪しき風習なのである。





止めよう、もう。



本当にそう思った。




食欲が出ないほど凹んだのは久しぶりだ。



きっとこれは、いいダイエットになりそうである(笑)













いちまるが、恋しいな。






〜デブ脱却まであと44日〜