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構図法 ③

1991年以来、私は、絵を描く際の道具を一切変えてません。

基本が、三菱の水性ペンpinの0.1㎜、修正液がLIONの

MISNONペン型(これが、ペン先が一番しっくりきます)、透明

水彩がホルバイン、水彩を描く時に使用する筆が1号の平筆1、

3号の丸筆1、今世紀に入って追加されたのが、蛍光マーカー。

筆と蛍光ペンにメーカーのこだわりはありませんが、baseが

三菱なので、インクの合性を鑑みて同一メーカーで統一する

ようにはしています。


命綱ともいうべき、三菱のpinが、世界堂新宿西口店店頭から

姿を消した時、もう、これ以上絵を描かなくて済むのかな、と

思いました。他のメーカーの0.1㎜水性ペンを試したが、てんで

ダメ。5本まとめて購入したのを、使用した1本以外、「書き味が

気に食わないから」と返品したところ、地元商店街の文房具屋

と、けんかになりました。そういった理由での返品は原則、応じ

ていないから、とのことなのです。で、爾来、その文房具屋には

入っていません。――結局、ネット通販で購入出来ることが

解り、現在は(もしかしたら一生使い切れないほどの)ストック

を抱えています。


三菱の水性ペンとLIONのMISNONが入手出来たので、あと、数年

は絵が描けることとりましたが、その後にまた、社会的な波乱が

起こり、それどころではなくなってしまいました。今、携わっている

公的業務も週5日半出勤のため、私的時間は決して余裕がある

訳ではありません。但し、このblogを綴る上でも、絵画に関しては

これからも触れていくと思われますので、今現在、絵を描くとどう

なるのか、興味本位で先週のoff-day(職場の都合により28日の

土曜日でした)に新作を描きました。暫く前に『現存する最後の絵』

としてupしたものの日付が21st,dec.2007ですから、まる14ヶ月振り

の作品です(ちなみに、その14ヶ月間は、三菱のpinを手にしてない
です)。


それが、下図。
相変わらず、使用用具は、三菱のpin0.1㎜とペン型MISNON、蛍光

マーカー1色と、全く変わっていません。また、何か、他の道具を

使いたいとも思わなかったので、どうも、これから先も、芸風の劇的

な変化は望めそうにありません――。





the pros and cons from maggie-and-malone

【The Girl Who Called “Radish”】
size 334mm×243mm
0.1 aqueous pen and color marker on paper
-28th,feb.2009-


Stray Cats――日活ニューアクション

いわゆる、日活ニューアクションと呼ばれる映画作品には、

マッターホルンとユングフラウのように、シリーズものが二つ、

屹立しています――渡哲也さんの『無頼』、梶芽衣子さんの

『野良猫ロック』。両者には幾つかのcoincidenceがあります。

シリーズ全作が(『無頼』が六作、『野良猫――』は五作)、ほぼ

1年間で制作されていること、それぞれの第二作こそ、正編の

続き(制作が早いだけあって、『無頼』の方が、より、顕著。『ワイ

ルド・ジャンボ』の筋の踏襲振りは、まあ、ご愛敬)を取っている

ものの、シリーズの整合性がストーリーから、キャストへ移行

すること、両主役が70年代に、東映(!)の、深作欣二監督作品

『やくざの墓場』(1976年)で共演し、それが、文字通り、ブログ

筆者にとって、“映画の墓場”となること、などです。最後のは

私的暗合ですが、筆者の映画鑑賞対象のpick-upの背骨となる、

割に重要な事柄であり、別問題。今回は、まず、『野良猫ロック』

シリーズについて。


『野良猫――』との出遭いは、もう、かなり、以前のことです。

三軒茶屋のTSUTAYAにて、第1作と第3作をレンタル(2、4、5作

は在庫なし)しました。

当時はcomplete boxどころか、全作が未DVD化の状態だった

っため、もちろん、VHS。だから、第一印象は、画質が悪いなあ、

と。また、筋も今一つ呑み込めぬまま、ああ、と云う間に終了。

真剣に対峙し始めたのは、米盤の『Stray Cats Rock-Sex Hun-

ter』を購入してからです。で、結局、英字字幕の明らかな誤訳

(「ただじゃ起きないね、マコは」が、“Miki always steps out

of shift smelling rose”になっています)や、2度の「バッツキャ

アロウ」が一度目(バイク上)は“Bastard!”であり、二度目(火炎

瓶を手に)が、“Fuck you!”であることやらを発見するに至りま

した。――そんなことは、どうでもいいので、作品に関して、思う

ところを。


筆者は、その台詞がどう英字幕化されているかを知りたいが

ために、国内盤を避け、あえて米盤を購入――その殆どが

The Criterion Collectionですが、『Stray Cats Rock-Sex Hun-

ter』はHVeレーベル――することがあります。まあ、この作品に

限っては当時は、全5作品中唯一のDVDだったので、 その他

の選択肢はありませんが。映画のデータとしては、監督が長谷部

安春さん、脚本が大和屋竺さんと藤井鷹史(長谷部監督の筆名)、

音楽が鏑木創さん。主役の梶芽衣子さんは、DVDのパッケージに、

stars hard-as-nails(爪くらい強く主演)と記載されています。劇中

に登場する女の子のグループが、vicious teenage schoolgirlsと

説明されているのは、先ほど知りました。


この映画、観直す度に感心するのは、導入部の歯切れ良さ。

下向き加減のマコが顔を上げるのに続き、フェンスが映し出さ

れ、ヘリコプターの轟音が聞こえて来て(このタイミングは絶妙)、

ほんの数秒間で【米軍基地がある街に展開する話】であることが

解ります(映画の設定上では、立川なので、昭和基地ですね)。

私は福生に暫く住んだことがあり、立川は通過点として何百回も

通り過ぎましたし、何回か足を踏み入れたこともあるので、鑑賞を

重ねる内に、殊更、親しみ易い世界となりました(但し、最後の

【対決シーン】は、横須賀とのこと)。

梶さん自身が語るところに依ると、『野良猫ロック』は、【ロック・

ミュージカル】。実際、第二作から第四作まで、梶さんの独唱・

二重唱などが挿入されています。――以下、次項。




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――この笑顔にやられました。







『二人の銀座』(1967年)

2008年視聴映画ベスト5の第3位に挙げた日活映画、

鍛冶昇監督の『二人の銀座』(1967年)に関する、あれ

これ――。

楽曲はともかくとして、この映画作品の知名度は、今

ひとつのようです。wikipediaにもまだ、掲載されてい

ません。


一つの楽曲が成立して行く過程を映画化した作品に

ジャン・リュック・ゴダールの『ワン・プラス・ワン』が

ありますが、ゴダールのそれが、the Rolling Stones

および自己主張に重きを置いているのに対し、この

『二人――』は、完全なプログラム・ピクチャー。原案で

クレジットされているのは、『魔法使いサリー』などの

アニメの脚本で著名な、雪室俊一さん。もちろん、

作曲者たるヴェンチャーズは登場しません。


VTRに収録したのは、昨夏、チャンネルNECOの和泉

雅子・山内賢特集でのon-air。この度、音声をMDに

落とすため、何回か再視聴したところ、その作業中に、

幾つかのことを――例えば、昨年度視聴映画ベスト3

にランク付けしたfacter――再考してました。

2年半前に東映チャンネルを契約してから、『魔法使い

サリー』の初回モノクロ篇からの再放送があり、たま

たま、その当時の職場に【カブ】とあだ名を付けられて

女の子(実際、よく似ていました)がいたので、何気

なしに観始めたところ、そのクオリティの高さに一驚を

喫し、結局最終話まで、フォローする羽目になりました。

スタッフにも関心があったので、サイト検索をし、情報を

収集しつつ、です。『二人――』の原案者、雪室俊一

さんの名前は、その時に知りました(今でも、『魔法使い

――』のベスト2が、雪室さん作の第93話【消えたサリー】。

ベスト1は北川和美さん作、第38話【わんぱく大将】)。


今回、改めて鑑賞し、音楽も聴き込んでみて再確認出来

たのが、主題曲の歌詞のすばらしさです。作詞は永六輔

さんですが、シンプルで力強い歌詞の持つイメージの

喚起力は、やはり端倪すべからざるものがあります。この

ことについて、少し考えてみました。永さんの作詞の代表曲

というと、『上を向いて歩こう』や『見上げてごらん夜の星を』、

『こんにちは、赤ちゃん』などの方が、遥かに著名ですが、

ブログ筆者には『二人――』の歌詞に、その他の作品には

ない、何かが強烈に訴えかけて来るのです。それは、一体、

何なのか?

『灯ともしころ』という文語的表現なのか(最初、“ひともす”

との動詞なのかと思ってました)、『僕ときみが映るウィンド

ウ』という正確な観察と(第一連の歌詞として)実に効果的で

的確な時間帯の表現なのか、『みゆき通り、すずらん通り』

などの固有名詞の羅列なのか、『ペーヴメント』などのお洒落

な語彙なのか、『寄り添う重な影が、かさなる時』云々の――

接近に関する――品のある間接表現なのか、それとも全体

のシチュエーションなのか。この謎を解きたい。


また、映画の方に話を戻すと、筆者がこよなく愛するプロット

に、【失踪・人探しモノ】があります。『二人――』は、出だし

こそ日活青春映の典型ですが、途中より【人探し】にシフト

します。それらが、この映画に対する“主観的評価”に繋がっ

ているのでないかと推測されるのですが――以上が、現時

点での総括です。




the pros and cons from maggie-and-malone
『二人の銀座』での和泉雅子さん

お姉さんが経営するブティックにて


雪室俊一さんに関し、情報を検索したら、連載

コラムが掲載されているサイトがありました。

脚本家を志望される方は、ぜひ、ご一読を。


アニメやぶにらみ 雪室俊一