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【ジャズ・オン・パレード 1956 裏町のお轉婆娘】(1956年)

井上梅次監督の日活映画【ジャズ・オン・パレード 1956 裏町のお轉婆娘】

(1956年)を観ました。

昨年、講談社文芸文庫の『小林秀雄対話集』を読んだ時に、印象に残った

文言の一つに、


小林 私は、江利チエミが好きなんだ。レコードをみんな持っている。

何が好きだというとあの日本語の発音の正確さだね、あれだけ正確な

発音をしている歌手はない。(中略)役者の手本だよ。レコードでも買って

勉強すりゃいいんだ(後略)」

(岩田豊雄との対談 『日本の新劇』 初出【雲】第三号昭和39年七月号)


が、あったのですが(さすがに、この辺になると、うかつに触れられないので、

ちゃんとテキストを参照してます)、を知ってから、初の江利チエミさん

出演映画の鑑賞です。

それ以前に観たことがあるのは、鈴木英夫監督の【チエミの婦人靴(ハイ

ヒール)】(1956年)、東映チャンネルで1本(タイトル失念。ひばり・チエミの――、

シリーズの時代劇。監督は、確か、沢島忠さん)、がある切りですが、

【チエミ――】は、すっきりした出来の小品であり、【ひばり・チエミ――】も

楽しい映画だったので、今回のon-airは楽しみでした。当然のように見方が

変わっており、江利チエミさんが登場した瞬間、その『発音』に傾聴してました。


もともと、この映画をマークしていたのは、筆者が掛け値なしの“芦川いづみ

スト”であるからです(ファンサイトの出演映画一覧表に『芦川さんも歌い踊る』と

あったので)。ま、実際の歌・踊りはそれ程数多くなく、middleでちょろっと、

finaleの14分にわたる全4景のミュージカルシーンで、ちょこっとづつ、だったの

ですが、その動きの高雅なこと! toe-shoesでのつま先立ち(というんでしょか)、

も観ることが出来ました。松竹歌劇団時代を髣髴させて、それだけで、充分に、

満足。本当の気品とは、顕われるものでもなく、滲み出るものでもなく、溢れ出す

ものだ、という気がして来るほど。新珠三千代さんも素敵でした。また、映画

自体も、その歌い出しの唐突さは、乱歩さんの『黒蜥蜴』をミュージカル化した

監督の面目躍如たるものがありました(今、映画情報を確認するために、

江利チエミさんで検索しましたが、どうも、【ひばり・チエミの弥次喜多道中】

(1962年)だった、ぽいです。上記東映映画)。


これは、筆者の私見ですけれども、何故、私が、いづみストかというと、知りうる

限り『最も言葉使いの美しい女優さん』だからです。容姿・芝居はもちろん、

情報を収集すると、人格も優れていた方のようです。


心が洗われるような、芦川いづみさんの挿話(お疲れの方は、ぜひ)。

日活で音声の仕事をなさっていた、大西俊郎さんのブログ、芦川さんに関する記事


そのため、この映画は、最も言葉使いの美しい人と、最も発音が正確な歌手が

共演しているミュージカル映画、となり、どうも、話が横滑りしそうです。




追記:今、気がつきましたが、第3景は『女のスリが3人、男のスリが3人』と3づくし

だからワルツなんですね。こういう仕掛けって、お洒落だなあ。





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最も言葉使いの美しい人と発音の正確な歌手、

黄金の2ショット、と私




第03話『誘拐の城』再鑑賞

再放送終了を受け、個人的に第01話から、丁寧に見直して

います。私、気に入った本は、読了後に、気が済むまで何回も

読み直す派、なのです。

ケーブルTV契約前まで、モノクロ篇第01話のみ、横浜の放送

博物館で視聴可能な状況だったのですが(私が行ったのは、

確か、西の方で、大規模な列車事故があった4月の某日です)、

歳月を経て、今は、自宅にて、何回でも繰り返し鑑賞することが

出来るようになりました。


で、掲題ですが、全てを見届けた後ではまた、印象が様変わり

するものです。良く出来た話だったので、初回視聴時も複数回

繰り返して観ましたが、ここ暫くはカラー篇の印象が強かった

ので、まず、タッチ(調子の意で)の違いに吃驚です。

具体例を挙げると、ユミちゃんが、ボスのことを『黒木さん』と

呼んでいます。また、同じくユミちゃんの台詞、『みんなで観に

行こうよ』との口調(タメ口)は、この話以降、繰り返されることは

ありませんでした(誤りがあったら、後日訂正致します)。島ちゃんは

既に『ぼうや』と云われていますが、島ちゃんは風間くんのことを

『風間さん』と呼んでいます。原案の海渡英祐さんは、ノーマークの

作家さんだったので、機会があったら、著作に触れてみたいなあ、

と思いつつ。


内容に関しては、ところどころ、サスペンスを盛り上げるための

『工夫』が、それこそ綺羅星のようにちりばめられていて、その効果

は、画面の前で姿勢を正したくなるほど、でした。あと、もう、野暮な

ことを云いたくはありません。


それにしても、第01話から第03話の原案陣が、都築道夫、河野典生、

海渡英祐って、gorgeousなこと、この上ないですね。現役の作家さん

でのアナロジーを記したいのですが、あいにくと、新本格以降は

全くフォローが出来ていないので――。




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タメ口を叩き終わった直後のユミちゃん
左手に持っているのは、風間くんが焼いた
ホット・ケーキ


Led Zepplin in Concert on 24th,May.1975

実際の感想を記さずに、入手したことばかり記して、

単なる備忘録になりつつありますが、演奏の聴き込み

がある程度行えるまで、もう少しかかりそうなので――。


1977年のライヴ映像に引き続き、Led Zepplin “Story So

For”(Live at Earl's Court Arena London, May 24th 1975)

入手。75全米ツアーの凱旋(だと、思います)、連続5日

公演のラス前、on Saturdayの模様を220min収録(公式

DVDでリリースされた75年の映像では、【Trampled Under-

foot】のみが24日の収録)。画質は、ところどころ、驚くほど、

きれい。


昔話ですが、西新宿の『海賊デルタ』と呼ばれている

地域で、いかがわしいビニール盤を大量に複数の店舗が

取り扱っており、誘蛾灯のように特定の者を惹きつけ、

蜘蛛の巣のよな粘着力で、その財布から金を巻き上げて

おりました。


そんな中に、A面片面の全部が【No Quarter】、B面が

【No Quarter】残り、【Dazed and Cofused】の一部を強引に

【Woodstock】とクレジット(ま、実際に、そのカヴァー、

なんですが――)、【Tangerine】のelectric version、

以上のみ収録のEarl's Court音源がありました(実は

未だにあるのですが、押入れの奥深くに潜んでいるので、

情報の裏付けはしてません)。確か、別編集のアコー

スティック・ギグから数曲収録したブツも見掛けた覚えが

あります。CDが普及する以前のお話です。


75年は真冬に全米を廻り、5月に英国公演だったのですね。

全米では演奏しなかった、【Tangeline】、“Led Zepplin 

Concert File”に拠ると、4ヴォイス・コーラスとのことですが、

ボンゾの声は聴き取り難いです。

この音源の存在を知ってから、実際の映像記録を観るまでに

――24年もの年月が経過していました。