Stray Cats――日活ニューアクション | the pros and cons from maggie-and-malone

Stray Cats――日活ニューアクション

いわゆる、日活ニューアクションと呼ばれる映画作品には、

マッターホルンとユングフラウのように、シリーズものが二つ、

屹立しています――渡哲也さんの『無頼』、梶芽衣子さんの

『野良猫ロック』。両者には幾つかのcoincidenceがあります。

シリーズ全作が(『無頼』が六作、『野良猫――』は五作)、ほぼ

1年間で制作されていること、それぞれの第二作こそ、正編の

続き(制作が早いだけあって、『無頼』の方が、より、顕著。『ワイ

ルド・ジャンボ』の筋の踏襲振りは、まあ、ご愛敬)を取っている

ものの、シリーズの整合性がストーリーから、キャストへ移行

すること、両主役が70年代に、東映(!)の、深作欣二監督作品

『やくざの墓場』(1976年)で共演し、それが、文字通り、ブログ

筆者にとって、“映画の墓場”となること、などです。最後のは

私的暗合ですが、筆者の映画鑑賞対象のpick-upの背骨となる、

割に重要な事柄であり、別問題。今回は、まず、『野良猫ロック』

シリーズについて。


『野良猫――』との出遭いは、もう、かなり、以前のことです。

三軒茶屋のTSUTAYAにて、第1作と第3作をレンタル(2、4、5作

は在庫なし)しました。

当時はcomplete boxどころか、全作が未DVD化の状態だった

っため、もちろん、VHS。だから、第一印象は、画質が悪いなあ、

と。また、筋も今一つ呑み込めぬまま、ああ、と云う間に終了。

真剣に対峙し始めたのは、米盤の『Stray Cats Rock-Sex Hun-

ter』を購入してからです。で、結局、英字字幕の明らかな誤訳

(「ただじゃ起きないね、マコは」が、“Miki always steps out

of shift smelling rose”になっています)や、2度の「バッツキャ

アロウ」が一度目(バイク上)は“Bastard!”であり、二度目(火炎

瓶を手に)が、“Fuck you!”であることやらを発見するに至りま

した。――そんなことは、どうでもいいので、作品に関して、思う

ところを。


筆者は、その台詞がどう英字幕化されているかを知りたいが

ために、国内盤を避け、あえて米盤を購入――その殆どが

The Criterion Collectionですが、『Stray Cats Rock-Sex Hun-

ter』はHVeレーベル――することがあります。まあ、この作品に

限っては当時は、全5作品中唯一のDVDだったので、 その他

の選択肢はありませんが。映画のデータとしては、監督が長谷部

安春さん、脚本が大和屋竺さんと藤井鷹史(長谷部監督の筆名)、

音楽が鏑木創さん。主役の梶芽衣子さんは、DVDのパッケージに、

stars hard-as-nails(爪くらい強く主演)と記載されています。劇中

に登場する女の子のグループが、vicious teenage schoolgirlsと

説明されているのは、先ほど知りました。


この映画、観直す度に感心するのは、導入部の歯切れ良さ。

下向き加減のマコが顔を上げるのに続き、フェンスが映し出さ

れ、ヘリコプターの轟音が聞こえて来て(このタイミングは絶妙)、

ほんの数秒間で【米軍基地がある街に展開する話】であることが

解ります(映画の設定上では、立川なので、昭和基地ですね)。

私は福生に暫く住んだことがあり、立川は通過点として何百回も

通り過ぎましたし、何回か足を踏み入れたこともあるので、鑑賞を

重ねる内に、殊更、親しみ易い世界となりました(但し、最後の

【対決シーン】は、横須賀とのこと)。

梶さん自身が語るところに依ると、『野良猫ロック』は、【ロック・

ミュージカル】。実際、第二作から第四作まで、梶さんの独唱・

二重唱などが挿入されています。――以下、次項。




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――この笑顔にやられました。