聖きひとよ | The Magellan
悲しみも怒りも
すべて
きみの裸身が発している
言葉もないし
雷鳴も轟かないが
おお
最後までずっと
うずくまるひとよ
いつの時代の情念か
パチパチと遥か上空で音をたてている
誰にも判読できない色になろうと
樹皮はさらに苔むし
記憶も曖昧な風化に馴染みつつある
だとしても
だからこそ
わたしが育った
死にそこないの
吹きさらしの土壁目がけて
風は吹き込み
心と身体の
隙間という隙間に
打撃を与え続けている
悔いることは余りに多い
もう見れない月に見とれて
夕べきみは
異界への橋を渡りそびれ
落雷のあとに
けして閉じていかない丘をのぼり
聖きひとになった