使い捨ての
一本のマッチの火
間近に臨界を感じても
まだまだ進めると思っていた
洞窟で何度祈っても
幻影が通り過ぎていく
敵も味方も
二度と見れない夕焼けの前で
ずっと立ち尽くしたままだ
「地上にはわれわれの国がない」(※1)
ここはどこなのか
きみはだれなのか
時を超えて
夢と現実の間を
往還する孤独な魂
「われわれにはわれわれを癒やすべき毒がない」(※2)
肩越しの
一本の草のひかりが
われわれを地上ではないどこかへみちびく
(※1・※2)田村隆一「立棺」より
