テレビでいま、安藤忠雄の事務所を映している。
本棚に囲まれた机の前で、安藤の講釈が始まる。
スタッフは30人。その一人のハンガリー人は、
「まるで道場のようだ」という。
そうなのだ。門下生は安藤師範を深くリスペクトし、
運命共同体なのだ。
朝の掃除から始り、人としての心構えから、コンペや
専門的な建築の話まで、すべて安藤師範の独壇場だ。
そういえば、整然とした雰囲気は、青畳の敷かれた道場
のような雰囲気がある。
驚くべきことに、インターネットにつながっているパソコンは
わずか1台だという。
安藤はメールなど信じないのだという。メールを見ても
相手がわからないからだ。
そういう意味では、旧態然とした事務所だという。
スタッフと一緒に定期的に英会話教室にも行く。
またパーティー前でも、
突然、建築の模型や図面を取り出して閃いたイメージを
整理する。
東大新卒の社員には、
「自分の設計した寸法も覚えていないのか。
なんで階段の蹴上が145センチなのか。
家で、パンパンと階段の模型をつくればわかるやろ。
それで東大卒か。こんなやつに給料払いたくない。」
と𠮟咤する。
スタッフは一種の恐怖感から仕事を覚えていくのだというが、
親方安藤は、とても慈愛に満ちている。
そこにはいまは絶滅した徒弟制のなごりがある。
いま、安藤は、お台場で、東京都の海の森プロジェクトを
手掛けているが、超一流になっても、さらにハングリーさを
極めてほしい。