自分の記憶をたどって
雪国富山でも、春の足音が聞こえてきた
これからの季節がいちばん好きだが、限りなくせつなくもある
幼い頃の農村
菜の花畑の鮮やかな黄色が揺れ
レンゲソウのピンクと緑のコントラストに目を奪われた
父の運転する耕運機の荷台に載せられ
でこぼこの農道を揺られながら見た光景
ぼんやりとした不安感とある美しさを伴って
春のイメージの原景になっているような気がする
あのころ見た黄色が、いま見ている黄色と
同じなのかどうなのかはわからないが
いま見ている春の色の知覚は
一つの色だけにとどまることなく
時間的にも空間的にも
どこまでも拡がっていく
(美の刺激に接したとき発するニューロン?)
生きるという一回性をひしひしと感じながら
あのころの記憶に帰っていくように
私は詩を書いている