あの頃の記憶 | The Magellan

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Poetry Magazine Magellan 発行人のブログ

自分の記憶をたどって


雪国富山でも、春の足音が聞こえてきた

これからの季節がいちばん好きだが、限りなくせつなくもある

幼い頃の農村

菜の花畑の鮮やかな黄色が揺れ

レンゲソウのピンクと緑のコントラストに目を奪われた

父の運転する耕運機の荷台に載せられ

でこぼこの農道を揺られながら見た光景

ぼんやりとした不安感とある美しさを伴って

春のイメージの原景になっているような気がする

あのころ見た黄色が、いま見ている黄色と

同じなのかどうなのかはわからないが

いま見ている春の色の知覚は

一つの色だけにとどまることなく

時間的にも空間的にも

どこまでも拡がっていく

(美の刺激に接したとき発するニューロン?)

生きるという一回性をひしひしと感じながら

あのころの記憶に帰っていくように

私は詩を書いている




Magellan by Shinji Honda