アビイ・ロード / (1969年)    収録
 「邦題」ジ・エンド   レノン/マッカートニー  作
 ポール・マッカートニー作の楽曲
 解散前の実質的なラスト・ナンバーとなった作品


 発売は「レット・イット・ビー」が最後になったけれど、4人の最後のアルバムだと意識しながら 
 制作した「アビイ・ロード」の最後を「ジ・エンド」という曲名で締めくくった。
 
 リンゴの初のドラム・ソロから、ポール、ジョージ、ジョンの順で3回づつ交互に弾くギター・バ
 トル、そしてピアノに導かれてポールが最後のメッセージ───

 “結局、君が得る愛は与える愛に等しい”
 (And, in the end, the love you take / Is equal to the love you make.) ─── を歌い、
 デビューから解散までビートルズを見守ってきたプロデューサーのジョージ・マーティンによる
 オーケストラで大団円を迎える。
 ビートルズ物語は最後の最後まで劇的だ。

 「愛こそはすべて」のメッセージより簡潔に詩的にまとめたポール。
 “ビートルズの最後の曲” にジョンも最大限の賛辞を贈った。 〈藤本国彦)
 






 ■ The End

 Oh yeah ! all right !
 Are you gonna be in my dreams tonight?

 Love you, love you, love you ..........

 And in the end the love you take
 Is equal to the love you make
    (MetroLyrics)



  


 4人ひとかたまりの音楽しかやらなかった彼らがソロを回しているんだから、どう聴いたって最
 後。 けれど当時、「ビートルズの新しい段階のはじまり」と感じたファンも多かったはずだ。

 曲はどうやって作られたのだろう。 ポールが「まずリンゴ、その後3人で交互にソロ」と説明
 したのか。 あるいはジョンが「最後の曲を作ろう。 骨格はポールが組み立ててくれ」と指示
 したか。 どう想像してもつらすぎる。

 4人は迷いなく、のびのびと個性を発揮している。 けれどその各自の持ち味は、我々の胸を
 締め付けずにはおかないものだ。

 ソロだというのに全体のためにリズム・キープを忘れない、リンゴの律儀さ。 ほかの2人に気
 を遣い、基本的な流れを示すポールのフレーズ。 リード・ギタリストとして見せた、ジョージの
 意地とテクニック。 我が道を行きながら、バンドを強引に引っ張ろうとする、ジョンのリーダー
 的性格。 

 できるなら、4人とも続けたかったに違いない。 ロックンロールに生まれ、ロックンロールで幕
 を閉じたビートルズ。 「ジ・エンド」は辞世の句であると同時に、「ゴールデン・スランバー」以
 上に後ろ向きで未練たっぷりな、若き時代へのオマージュなのではないか。  (鳥居一希)
 


  
          ABBEY ROAD

 サムシング / カム・トゥゲザー / (1968年)    収録    シングル 両A面
 アビイ・ロード / (1969年)   収録
 ビートルズ12作目のオリジナル・アルバム
 21枚目のオリジナル・シングル曲   米チャート1位獲得
 邦題「カム・トゥゲザー」 ジョン / マッカートニー 作
 ジョン・レノン作の楽曲

 リード・ヴォーカルはジョン。 パッキング・ヴォーカルはポール。
 最後のスタジオ録音アルバム「アビイ・ロード」のA面トップを飾るジョンの傑作。
 



    Come Together - John Lennon 



  ■ カム・トゥゲザー

  お馴染みの山高帽がやってきた
  ゆっくり踊るような足どり
  目をぎょろぎょろさせて
  奴は聖なる賭事師
  髪を膝まで伸ばしてる
  ジョーカーになっちまうことだ
  奴は好きなことしかやらない

  ピカピカの靴とは縁遠い
  いつも裸足でサッカーをしてる
  猿みたいな指
  コークを注射する
  奴は言うよ “俺はあんたを あんたは俺を知ってる”
  いいか あんたは
  自由にならなきゃいけないんだ

  カム・トゥゲザー 今すぐ 俺のところへ

  奴は世間に袋をばらまく
  セイウチのゴム長靴を履く
  “オノ” のサイドボードを備えてる
  あれはとんでもなく危険な男
  奴の膝の下には足がある
  肘掛け椅子で奴の抱擁を受けると
  奴が病んでるのを感じるだろう

  カム・トゥゲザー 今すぐ 俺のところへ

  奴はジェットコースター
  早期警報を発せられる
  マディ・ウォーターを持ってる
  あれはヤクのフィルター
  奴は言うよ “1たす1たす1は3”
  注意してよく探すことだ
  奴はめったに人前に出てこない

  カム・トゥゲザー 今すぐ 俺のところへ

  カム・トゥゲザー

                        訳 : 内田久美子




 
 

 LSDによる精神的啓蒙を促してヒッピーに支持されたティモシー・リアリーが政治に出馬する
 際、ジョンにテーマ曲を依頼したことがきっかけで生まれた。 
 とは言え、曲には政治的メッセージは微塵も含まれず、かわりに「英語圏でも理解できる人は
 いない」と言われる難解な歌詞がつけられた。
 
 チャック・ベリー流のロックンロール定番ギター・リフに、ジョンの攻撃的ヴォーカルがかぶせ
 られた硬派なアレンジ。 ポールのベースが醸すファンキーな光沢と、ドラム・セットを縦横無
 尽に使いつつも簡素なリンゴの職人芸が光る。 ジョージのギターも挑発的。

 地味だけど見逃せないのは、2番目のヴァースから入るポールのコーラスが、通常のビート  
 ルズ・パターンとは違い、ジョンより低いパートを歌う部分だ。 ジョンのヴォーカルが持つ惑
 星の誕生時のようなカオスを、ポールがあえてクールに抑えることで、この曲は単調なロック
 ンロールとしての成立を拒み、狂気性を内側に秘めた、渦を巻くうねりを勝ち得た。 
 極めて次元が高い表現手法だ。 (鳥居一希)





  
          ABBEY ROAD

 サムシング /  カム・トゥゲザー / (1969年)  収録  シングル両A面
 アビー・ロード / (1969年)  収録
 12作目のオリジナル・アルバム
 「邦題」サムシング  ジョージ・ハリスン  作

 初めてシングルA面となったジョージ作の楽曲。
 21枚目のオリジナル・シングル曲。 米チャート1位を記録。
 リード・ヴォーカルはジョージ。 パッキング・ヴォーカルはポール。
 ジョージがパティへの想いを歌ったと言われています。




 
    Paul McCartney - Something - Live from citi Field  (DVD)




  ■ サムシング

  彼女の仕草がかもし出す不思議な魅力が
  ほかのどんな恋人よりも僕を惹きつける
  愛してとせがまれればいやとは言えないよ
  彼女のそばを離れたくない
  それでいいと感じるんだ

  彼女はあの笑顔のどこかで知っている
  ほかの恋人など僕にはいらないと
  彼女が身をもって僕に教えてくれる
  彼女のそばを離れたくない
  それでいいと感じるんだ

  僕の愛が育つのかと君は訊く
  そんなことわからない
  成行きを見守るうちにおのずと答えが出るだろう
  僕にはなんともわからない

  彼女は大事なことをきちんと心得ている
  僕はただ彼女を想っていればいい
  彼女がすばらしいことを僕に教えてくれる
  彼女のそばを離れたくない
  それでいいと感じるんだ

               訳 / 内田久美子

 

  
     ザ・ビートルズ 青盤 : ドキュメンタリー
  

  “サムシング”  は古典となり
     “ 『イエスタデイ』 ” と並び 称賛されている
  ビートルズにおけるジョージの役割は
  見過ごされがちだがなくてはならないものだ
   by (Les Davidson)

  ジョージはソングライターとして才能を開花させた
  解散の時期で得をした者がいたとしたら
  名曲を書き始めていたジョージだろう
  彼は自信に満ちた状態でソロ活動を始められた
   by (Chris Roberts)

  最後を飾るには最高の作品だった
   by (Nick tauber)

  
 


  ジョージのビートルズ時代の代表作。 自作曲初の全米1位を記録。
  詞・曲ともに優れているとしてアイヴァー・ノヴェロ賞を受賞。 
  名だたるアーティストにカヴァーされ、ソロ以降の数々のライヴでも名演を生んだ。

  余計な言葉を排した寡黙な歌詞に対し、演奏は実に雄弁。 と言うより、この演奏は1枚の
  絵画だ。 リンゴはゆったりとしたテンポで歌の主人公たちの足音を刻みながら、心臓が高
  鳴るようなフィル・インを「ここしかない」という場所に絶妙に挟み込む。 
  ポールのベースはメロディとしても見事に完成されており、風景の中の風のように、ジョージ
  のヴォーカルに優しくまとわりつきながら漂う。 いかに技術があったとしても、お互いに愛
  がなければ、こんなに息のあった演奏は不可能だ。 

  感情の高まりが極みに達するサビは、少しゴスペルっぽい印象がある。 
  キーボードで参加しているビリー・プレストンが彼自身のヒット曲「神の掟」でも披露している
  下降展開を、効果的に演奏しているのは見逃せない。 
  その後の間奏でリンゴはテンポを倍に持っていく。 そこにジョージのリード・ギターが重な
  る。 特に後半部の、ギター、ベース、ドラムスの絡みの何とすばらしいことか。 

  ジョンの存在感はほとんどないけれど、むしろその強烈すぎる個性が消えたことで「サムシ
  ング」はジョージの代名詞になり得た。 ポールの「イエスタデイ」にも共通するこの傾向は、
  4人のバランスを考える上で重要なポイントになるだろう。 (鳥居一希)

  メンバーと当時の奥さんやパートナーとの映像が撮影され作られた。
  今あのビデオを見るとメンバー4人がバラバラの道に分かれ始めた時期と重なるんだ。
  一つの時代の終わりを感じて心にこみ上げるものがあるよ。
  PV撮影のために4人全員を集められなかったから、それぞれ別クルーで撮ったんだ。
  (ジョナサン・クライド : ビートルズ・レコード会社 APPLE社 制作責任者)




    Elvis Presley - Something


  
          THE BEATLES ABBEY ROAD

  
       THE BEATLES / 1967 - 1970