最近、見えないものがどんどん増えて来るので不安を感じています。
老眼が進んで新聞や本の活字が見えにくくなって来たのもその一つですが、長期化する我が国の不況、右肩下がりの続く日本の先行きが見えて来ないのが大きな不安です。
今、日本の今後に大きく影響するであろうと、新聞やテレビでTPP加盟問題が話題になっていますが、TPPって何のこと?
それを政府がどうしようとしているのか、その動きも見えてきませんし、加盟することで今後の日本にどう影響するのか?
私にはわからないことだらけです。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について少し調べてみました。
TPPの他にも、FTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定)があることを知りました。
荒っぽく言うと、関税など貿易の障害となる壁を、国同士お互いに取っ払って貿易を自由化して、お互いの利益を増やそうというのが、3つに共通する目的のようです。
まずFTAは、二国間(※または地域間)の協定で、モノの関税や数量制限などを撤廃し、自由貿易を行なうことによって利益を増やそうとするもの。サービスや投資なども含まれます。
次にEPAは、FTAの要素に加えて、知的財産権、投資、政府調達、競争政策、中小企業協力等なども対象分野に含む二国間(※)協定です。
そして問題のTPPですが、二国間ではなく複数の加盟国の間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、公共事業や物品・サービスの購入、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどすべてを自由化する協定をいいます。
TPPは、日本の農林漁業への影響が大きいことや食料安全保障に問題があると、多くの道府県議会で反対や慎重審議を求める意見書、特別決議の採択が相次いでいて、工業製品の輸出に期待できる反面、農家への打撃が大きいことも考えられることから反対も強いということです。
しかし、消費者の立場になれば物価が安くなったり、様々なサービスが安く受けられることになるかもしれないという側面もあって、一概に損得の判断は難しいように思います。
FTAについて、すでに日本は、シンガポール・メキシコ・タイ・マレーシア・ASEAN・フィリピンの6か国と締結しており、韓国・オーストラリア・スイスとも交渉中とのことです。
したがって、アメリカが日本に加盟を強く迫っているTPPは実質的にはアメリカと日本との二国間協定だと極論する人もいるようで、アメリカの謀略説を唱える人すら存在するらしいのです。
調べてみて余計に混乱してきました。
知らなかった(見えなかった)ことが、少し知って見えてくると、ますます見えなくなってしまうことってありますね。
都合の良いことも悪いことも国民にキチンと説明してくれる誠実な政府だったら、こんな苦労はしなくて済むかもしれないのにと、ボヤク余裕も与えず、先行きが見えない怖さはじわじわと私を不安に陥れます。
福島原発事故が起きて以来、多くの国民にとって、放射能は目に見えない怖いものの筆頭でしょう。
昔から、見えないものへの恐怖感が幽霊を産み出してきました。
そう言えば、人の心も見えないものの一つと言えるでしょう。じつは自分自身さえが見えていない怖い存在かもしれないと、私は考えてしまいます。
巨大望遠鏡を使っても見えるか見えないかの宇宙ゴミが、いつどこに落ちてきても不思議ではない時代です。ある意味で覚悟が必要な時代だと言えるでしょう。
アダム・スミスは『国富論』の中で
『人は自分自身の安全と利益だけを求めようとする。この利益は、例えば「莫大な利益を生み出し得る品物を生産する」といった形で事業を運営することにより、得られるものである。そして人がこのような行動を意図するのは、他の多くの事例同様、人が全く意図していなかった目的を達成させようとする見えざる手によって導かれた結果なのである。』
と述べています。
これまでの私は、たとえ都合の悪い事態になったとしても、「見えざる手」が何とか解決してくれるものだという、漠然とした曖昧な期待によって支えられて来たように思います。
『国富論』については、高校の教科書に載っていたことを微かに覚えているだけで、正直なところ中身をほとんど理解していませんので、アダム・スミスに怒られることを覚悟の上で(笑)、自分勝手に都合の良い解釈をして、漠然とした心のよりどころにしてきたような気がします。
想定外では済まされない出来事が起きた今、これからは「見えざる手」によって自分の期待とは真逆の解決策がもたらされることもあるのではないか?これが現在の私の不安の原因となっているのかもしれません。
「山よりでかい獅子は出ん」と信じてきましたが、今後は「山よりでかい獅子も出る」かも?と覚悟して生きなければならないのかと不安に思いつつも、いまだに「見えざる手」に淡い期待を寄せてしまう私です。
