樹木を食害するエゾヤチネズミ | 手稲山・発寒川からの手紙

手稲山・発寒川からの手紙

北海道の野生動物や自然の状況についてなど手書きの絵などによって詳しくお伝えします。

 1950年代から『天然林の大面積伐採』が始まった。その伐採跡地にササや雑草が繁茂した。そこにカラマツやトドマツを植えられたので“草食い”のエゾヤチネズミが“大発生”して冬の間に腹を空かして苗木を齧った。しかし、70年代からは伐採・植栽面積とともにネズミ害も減少した。



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↑北海道における植栽面積と被害面積との関係





なぜ、木を齧る?

 親ネズミは1年に子を数回産みます。春生まれの子ネズミは2か月後に親になり、秋には繁殖を始めます。冬の死亡率は高く、春まで生き残れるのは4.5匹(ha)です。この僅かなネズミが、豊富な餌植物を食べ、“ネズミ算”で50匹ほどに増えます。ところが冬には草が枯れ種実や昆虫も減り、腹を空かして2月頃から雪下の地際で食べ始めるのです。餌になる木には「好き嫌い」がありますが、ネズミ数が増えた年には食物が不足して嫌いな樹皮も食べます。また、豪雪(大雪)で春の雪解が遅れる年には、ネズミの空腹期間が長引き、それまでに被害のなかった場所でも大きな害を受けることがあります。

 このような食害発生のメカニズムは草食動物であるエゾユキウサギやエゾシカも同じです。



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↑カラマツ若齢木の被害

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↑トドマツ植栽木の被害

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↑カラマツ25年生木の被害