理利 ~FINAL~ その2 | ALPINE SKIER MAEDA SISTERS 公式ブログ 

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夢にときめけ 明日にきらめけ 目指せ世界一☆

つづき~

 

◆で、

多分、俺には

自分ひとりの力で

スキー技術を磨き、

わけのわからないまま出た

小学校のレースで

普通に滑ったら

優勝できた、

だから理利も

簡単に出来ると思っていた。

 

◆けど、

そこは俺のサクサクとした

イメージとはかけ離れて

幼少期の

理利との取り組みには

かなりの時間を要した。

 

理利の才能が無いと見下し、

馬鹿にして、

腹を立てていた

あの日の俺がいつも

思っていたこと、

 

それは、

俺が理利を山に放り投げて

「じゃ、4時に迎えに来るからな!」

 

それをやった場合、

あの日以来、

一度もスキー場になんか

来ることなく、

俺が毎晩、夕方6時から

焼酎を飲んで暴れていたら、

果たして理利が

俺と同じように

意地と根性だけで

這い上がれたかどうか?

 

1回か2回、

ポール滑っただけで、

例え美深の小さな山でも

竹ポールをビシバシ

フルアタックして

攻めきれたかどうか!?

 

で、誰からも指導を受けずに、

見よう見真似だけで、

1位になれただろうか?

 

そもそも、

そんな世界に

興味を持っただろうか?

 

それは正直、わからない。

 

 

 

◆時代は変わりました。

 

で、結果的に理利は

3歳から

俺と毎日、

スキーに通いました。

 

理利が育った

ピヤシリスキー場の環境は

最高の環境でした。

 

そんな環境を背景に、

美深から名寄に通っていた

森岡さん、志村さん、齋藤さん

坂井さん、小野さん、

結城さん、納さん、山下さん、

十亀さん、竹本さん、

熱いお父さんたちに便乗し、

理利が5歳から

名寄レーシングチームに

加盟させてもらいました。

 

◆でも、子供のころから

不甲斐ない

理利のレース戦績、

やってもやっても

思いどおりにならない日々、

悔しいこと、

腹が立つこと、

悲しいこと、

泣きたいこと、

そんな毎日の

繰り返しでした。

 

◆私にとっては

子供との想い出づくり、

子育て事業の一環として

気楽に始めたはずの

アルペンスキー。

 

世界で一番可愛い娘との

思い出づくりの過程で

「レース結果」

という複雑な要素が

からんできて、

誰に勝った、

誰に負けた、

あの子が速い、

あの子が凄い、

 

結果を求め、

生き急ぐ

そんな大人の事情で

焦ったこともあったし、

苦しいことも

沢山ありました。

 

何故かって?

 

◆それは簡単です。

 

それは自分が

本当は理利が一番凄い、

本当は理利が一番速い、

 

そう思えない日も

凄い奴にしよう、

速い奴にしよう、

 

最後の最後まで

ずっと本気で、

そう信じていたからです。

 

親が子供思う気持ちは

全ての親が

全員が同じ気持ちです。

 

◆私の過剰な期待は

小さかった理利にとって

これ以上ない

重たい重たい

プレッシャー

だったかもしれません。

 

でも、

ここを乗り切れば

何かわからないけど、

必ず明るい未来が

待っている、

 

理利と同じ、

重たい物を

俺も一緒に背負う、

 

だから俺を信じて

付いて来て欲しい、

 

必死でした。笑

 

◆こんなブログも

思春期の理利には

「調子良いことばかり書くな!」

と、

唾を吐かれたこともあります。

 

子供の夢を

親が利用していると

笑われたこともあります。

 

子供を利用して

親が目立ちたいだけと

言われたこともあります。

 

アルペンスキーだけが

原因ではありませんが、

私は

「理想のパパ」

と言われながら、

いつしか家庭は崩壊し、

離婚をしております。

 

大黒柱としては、

大切な家族を守れなかった

完全に折れてしまった

情けない男なのです。

 

世間的なアンチから見れば

それはきっと

良い笑い物でしょう。笑

 

◆でも、それでも

良かったんです。

 

私が望んだ結果です。

 

もし11年前に戻っても、

間違いなく

私は鼻息を荒くして

同じ道を選択します。

 

理利と一緒に

世界一を目指した日々は

本当に楽しかった☆

 

 

◆で、先程の話の続き。

 

俺のオヤジが

仮に前田貴也でも

俺の母親が

仮に前田理利でも、

寺島コーチや

長野コーチが、

桜庭先生や

塩見先生が

必死に教えてくれても…

 

俺が学生で双葉高校で

玉川先生に出会えていても…

 

城二先生に

勝てるような、

いや、

理利みたいな選手には

なれなかった。

 

それだけは、

自信持って言える。

 

 

◆小さなころからの

理利の夢。

いや、俺の夢か。

 

 

◆オリンピックやワールドカップに

出ることは出来なかったけど、

湯浅直樹選手と一緒に

朝里川温泉スキー場で

前走を務めれる最高の幸せに…

 

お父さん、

ゴーグル、

外せなかった…。。。。

 

本当に、

よく、

ここまでやってくれた。

 

◆理利の子供の頃の

様子を見ていたら、

もしスキーやってなかったら、

スポーツなんて無縁の

家の中で本読んだり

塗り絵したり、

気弱で優しくて

人ともロクに会話できない

大人しくて弱気な、

クラスの隅で目立たない…

物静かな女の子だったと思う…

 

俺みたいに

自主的に外に出て

大暴れしているような…

そんな

悪ガキには

絶対に

なっていなかったと思う。

 

 

そんな理利を

ここまで育ててくれた

ALPINESKI界に…

 

皆様の名前を書き出したら

きっと楽勝で

3,000人は超えるであろう

理利を支えてくれた

全ての皆様に、

感謝の気持ちしかありません。

 

 

◆姉はきっと、

それだけが全てじゃないけど、

厳しい厳しいオヤジの

スパルタ教育に耐えながら、

最高の財産を手に入れ、

我慢することや、

思いどおりに行かないこと、

ときに自然相手で、

ときにスタート順や

バーンコンディション、

雪や風、天候にさえ

運命を左右される

ALPINESKI界で

強くたくましく、

で、

誰よりも楽しく滑ること!

 

最高の競技スキー人生でした。

 

その経験を妹の英恋に、

たくさんの愛情と

厳しさを注いで

伝承してくれると思います。

 

だから英恋は、

お父さんには

怒られた記憶は

無いんだそうです。笑

 

 

◆11年前。

 

名寄の田舎から

オヤジと二人で

朝里に来て滑って

4人中3位、

内1名DFで

3位に入賞した

名もなき小学1年生の

女の子は11年後、

現役引退の瞬間を迎えるまで

ここにいる全ての役員、

コーチ、サービスマン、

ATOMICのみなさま、

玉川さん、原田さん、

「ずっと理利のファンだったよ!」

と、固い握手をしてくれた

札幌アルペンの岩間先生、

湯浅選手、

大学生や同世代の

レーサー、

共に戦って来た

静空、ユッキー、愛海、

もう、みんなから

「おい、り~り~!」

と、

暖かい声をかけて頂ける、

最高の現役生活を歩み、

あと6日後、

前田理利は静かに

現役ALPINEレーサーとして

引退をします。

 

理利も、私も

本当に幸せな

15シーズンでした。

 

日曜日の夕方、

泣いて涙でキーボード

叩けなかったら困るので

先に書いておきます。

 

理利、

こんなに最高の夢、

特別な時間を与えてくれて

本当にありがとうね!

 

 

 

◆一人の名も無き少女が

アルペンスキーオリンピック

金メダルを目指し

不屈の魂と精神力で

父親と共に雪の上で戦った

戦績、記録、記憶、

俺の思い、感情。

 

 

◆マウントだったスミマセン、

上からだったらスミマセン。

 

一度も日本一になったことの無い

名もなき選手の

一父兄が

偉そうなことは言えません。

 

でも、

この言葉だけは信じてください。

 

◆我が子を愛する気持ち、

信じる気持ちだけは、

これは間違いなく、

オンコース上の

子供を思う気持ちは

パパやママが

絶対に世界一なのです。

 

そんな頑張っている我が子を

思いっきり

応援してあげてください!

 

ダメなときは

怒っていも良いと思います。

怒られないと

速くならないときもあります。

ときに厳しさも必要です。

親ですから。

 

でも1つ怒ったら

9つ褒めてやってください!

 

どんなに厳しく怒っても

あのときの厳しさを

数年後、

あの日のお父さんの怒りを

笑い話に変えてあげられる、

そんな怒り方を

してあげてください。

 

◆私は今、

あの日の

『大魔神怒り』

 

「逆手しなかったら

飛び蹴り跳んできたからね!」

と、

理利にネタにされ、

笑われてばかりです。

猛省。

 

理利が滑って来るとき、

私は世界で一番

彼女の勝利を願っていました。

 

英恋が滑って来るとき、

私は世界で二番目に

彼女の勝利を願っています。

英恋の一番は

理利に譲ります。笑

 

◆私自身、

未熟な人間ですので、

理利のレース結果、

練習に取り組む姿勢には

随分と腹を立てました。

 

負けて嫌な思いをし、

失敗して気持ちが沈み込み…

 

でも、終わってみたら

最高に楽しかった

アルペンスキーヤー

前田理利の

15シーズンでした。

 

◆全ての皆様に

感謝の気持ちで

溢れています。

 

惜しまれつつ、

前田理利は

次の日曜日

現役racerとして

最後のレースを迎えます。

 

本当に、幸せいっぱいの

理利 ~FINAL

 

ありがとうございました。

 

感謝