昨日の続きです。
名前が分からないので、『ダストカバー』と名付けます。
みなさん分かりましたか?
さっそく答え合わせをします。
まず1個目
これは分かりやすいですね。
ボトムリンクアーム軸カラー(ディスタンスカラー)端面と
接触している面が座屈しています。
2個目は
座屈の一つ外側の黒い汚れは
Oリングの接触痕(摺動痕)です。
おそらく潰れ量も大きく、そのせいで摩擦、溶着してると思います。
油分も飛んでしまっていたかと。
そして3つ目は
Oリング痕の外側にあるカジリ痕は
ボトムリンクアーム軸 スラスト面との接触摩耗痕です。
みなさん全部分かりましたか?
これは長年使用していて起きるものでもあるのですが、
誤った組みつけ方法でも同じような現象が起きます。
どういった事が原因で起こるか、まえ坊的見解で解説します。
間違っていたらごめんなさいwww
ここからお得意の
まえ坊的図解で説明していきます。
意外と書くのめんどいのでちゃんと見てくださいませw
上の図はボトムリンクアームのピボット軸の断面略図です。
ここを上から見た図です。
内部構造は図の通り。
ディスタンスカラー内にはボルトが貫通しており、
フロントフォークと一緒に共締めされています。
いたってシンプルな構造ですね。
ワッシャーの傷については、
まずダストカバーの座屈が一番初めに起きると考えます。
ここからは一つの仮説です。
ダストカバーはこの部分の構成部品の中で(金属部品に限る)は比較的柔らかい素材です。
新品組みつけ時点から軽く座屈が起きると思います。
長く使用していくうちに、色々な力がかかり、少しずつ座屈が進行していきます。
で、上図のように座屈が進むと締め付け当初より座面が凹みます。
(図では分かりやすく隙間を作りました。)
隙間が出来る(座屈の進行する)と締め付けボルトの軸力が抜けてしまいリンクアームがグラグラになります。
上図の様な事が起きます(座屈の具合による)
で、
↑こうなるわけです('ω')ノ
ちなみにこうなっていると相方のリンクアームも当然
こうなっています。
こうなると何がダメかというと、もうお分かりかと思いますが
・摩擦抵抗の増大から起きるフリクションの増大
(アームがスムーズに動かなくなる)
・接触摩耗による削れ(サイドクリアランスが増えてガタの増大)
・摩擦熱による劣化(グリス焼けやゴムの硬貨)
などなど、
良いこと一つも起きません(笑)
で、なにが言いたいかというと、
レースでも一般公道でも、
もしアームのブッシュをリフレッシュする場合は、
”必ず!”
このダストカバーを見てみてください。
軽く座屈しているだけならまだいいですが、
先の写真の様な”傷”がある場合は
新品に交換しましょう。
新品にしないと接触摩耗は進行します。
そして相手側のアームの幅(接触痕)も確認しましょう。
アームの幅が大きく削れてしまっている場合は
ダストカバーを新品にしたところで本来の機能は回復しません。
お値段高いですが、アームも新品に、もしくは程度のいい中古に交換しましょう。
最後に、
具体的な数字でいうと、
↑中古なので正確ではありませんがアームがこれに対して↓
ディスタンスカラー(中古)がこのくらいの幅。
公差があるので正確には分かりませんが、
おおよそ0.4~0.5mmほど(片側0.2~0.25mm)のクリアランスがあるんじゃないでしょうか。
ダストカバーの座屈寸法がこの数値まで来ると
接触が発生するという事です。
先ほど
『組み立ての際にも少なからず座屈は起きている』と書きましたが、
じゃあどうやって管理すれば良いでしょう?
それは簡単です。
サービスマニュアルの締め付けトルクを守ってください。
新品をメーカー指定のトルクで締め付ければ、
メーカーの狙いの潰れ量で締め付けが出来ます。
寸法管理をしなくてもいいわけですね(中古は別)
というわけで、長々と書きましたが最後にまとめです。
ボトムリンクは繊細ですwww
最後に。こちらは個人の見解ですので間違いもあるかと思います
その点はご了承願いますm(__)m
あ、忘れてました。
レーサーのメンテで起きたトラブル実例を紹介!
・程度のいい中古リンクアーム(スラスト摩耗少)
+
・新品ダストカラー
+
・程度のいいOリング
+
・程度のいいディスタンスカラー
を
・締め付けトルク適当(オーバートルク)
で、フロントロックしましたwww