尾瀬沼が近くなった! | 前橋山岳会

前橋山岳会

いつも山と一緒に呼吸していたいから

2016年9月24日曇り

尾瀬沼一周(大清水より)

茂木 他OB一名

 

 新しい登山道が切り開かれた?では、ありません。ましてや、地球が収縮したわけでも、ありません。大清水~一之瀬間のバス乗り入れです。それによる時間短縮です。去年から、低公害バスの運行が始まりました。その効果の検証を兼ねて、尾瀬沼に出かけました。

 バス利用すれば、疲労低減、時間短縮の効果が大きいと感じました。片道3Km・1時間の歩行が無くなります。特に下山時の林道歩き1時間が無くなることは、一般の登山者にとって効果が大きいです。欠点は、運用開始が遅い(6月上旬)ことと、輸送力が小さい(低公害マイクロバス、13人乗り4台)ことです。

  

 

 大清水を出たバスは、時速25kmでゆっくりと走り、10分で一之瀬休憩所につきます。今までは、1時間の林道歩きにウンザリして三平峠の登りに取りついていました。今回は、登りにかかる時間は同じでしたが、余裕をもって峠に到着しました。しかし、良いことずくめではありませんでした。それは、群馬側の木道が、かなり傷んでいることです。大清水口の入山者減少に伴い、木道の改修が先延ばしにされていることです。早くも、一之瀬・岩清水間で、その実態を見ることとなりました。至る所に、危険注意の赤テープがあります。明らかに壊れている所は良いのですが、緩い下り坂で滑り止めの横板が抜けている所が沢山見受けられました。この横板が、濡れた木道の転倒と骨折を防いでくれるのです。三平峠の下りは、鳩待峠口のゴムマットに慣れた私には、非常に怖いものでした。

 

 

時間に余裕ができたので、三平峠下から沼尻経由で長蔵小屋に向かうことにしました。木道は、やはり荒れていました。すれちがう人が多くなりました。沼山峠口登山者の定番コースの一つのようです。入江の向こうに燧ケ岳が見えます。今日は山頂が見えません。

 

小沼の湿原まで来ると、ちょっと秋らしくなりました。ここから木道は、複線の新しいものになりました。沼尻の焼失した休憩所は、すっかりかたずけられていました。ベンチに人があふれています。座る場所もありません。疲れていないので通過です。

 

大江湿原に出るまでの森林は、切株更新・倒木更新の見本園です。飽きません。次から次へと、色々なサンプルを見ることができます。ぜひ訪ねてください。

大江湿原のオコジョ出没情報を得て、湿原のベンチで昼食をとりながら監視活動をしました。しかし、姿を見せてくれませんでした。来年の楽しみにとっておきましょう。大江湿原の入口にシカ侵入防止ゲートがあります。ゲートは開閉扉式ではなく、シカのひずめがスルーしてしまう大きさのグレーチングが敷かれています。グレーチングを挟むように、両側に網を張り、狭い廊下にしてあります。大江湿原の「シカ対策」は、効果が出てきたのではないでしょうか。日光キスゲの株に、必ず実がついていました。それは、シカの食害に遭わなかったことを意味します。けもの道は見受けられましたが、ヌタ場はありませんでした。尾瀬ヶ原の惨状を目にしている者にとっては、驚きでした。ここのキスゲも来年の楽しみの一つです。

 

長蔵小屋を過ぎると、道路事情悪化です。注意深く木道を下りました。

紅葉・黄葉は、始まったばかりです。植物の生存に必要なエネルギーより、葉の光合成から生み出されるエネルギーが、まだ上回っているため黄葉・紅葉が、進んでいません。温かい森の中は、青々としています。「きれいだね、良かったね」と言える山行にはなりませんでした。。    (記:もてぎ)