(宮澤家1階の階段下にあるパソコン。みきおさんは、このパソコンでよく仕事をしていたという・・・ただし、事件の直前に別の機種に買い替える等していたかは不明)
※※ パソコンからご覧の場合で、画像によってはクリックしても十分な大きさにまで拡大されず、画像中の文字その他の細かい部分が見えにくいという場合があります(画像中に細かい説明書きを入れている画像ほどその傾向が強いです)。その場合は、お手数ですが、ご使用のブラウザで、画面表示の拡大率を「125%」「150%」「175%」等に設定して、ご覧いただければと思います。※※
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続いてネット接続(二度目のほう)、これが、ややこしいことになっていまして、
「逃走直前の午前10時5分にも再びパソコンを4分16秒起動させ、今度はみきおさんの勤務先である外資系会社のHPなどにアクセスした後、強制終了した形跡があった。」・・・朝日新聞出版『真犯人に告ぐ!』より
みきおさんの勤務先は、英国系の大手ブランディング会社「インターブランド」とされていますが、細かく言えば、「インターブランドジャパン(東京本社)」ではないか、と思います。(1983年に東京で設立)
インターブランド英国本社のものか、それともインターブランドジャパン東京本社のものかは不明ながら、とにかく、そこのサイトがみきおさんのブラウザのお気に入りに登録されており、短時間ながら、そこにアクセスした形跡があったと。
アクセス後の「強制終了」については、長らく、「コンセントを抜く」という方法だった、とされてきたものの、最近では、この「コンセントが抜かれていた」という情報そのものの信ぴょう性が疑問視されている様子。
(「強制終了」とは何なのか、コンセント抜きがあったのかなかったのか、書きながら自分でも意味がわからないのですが、コンセント抜きについては、後で少し考えてみたいです)
また、みきおさんのパソコンはマッキントッシュだったと思われますよ。ソースは入江さんの著書で、そのまま引用すると、
「本好きのみきおさんは床から天井まで壁面いっぱいを作りつけの書棚にしていた。その書棚とマッキントッシュのコンピューター専用テーブル・・・(中略)・・・テーブルの上に置かれた二台のコンピューター。一台はみきおさんの仕事用、もう一台は子ども用のコンピューターだった。遊びながら、子どもがコンピューターに親しめるように。にいなちゃんも礼くんも、お父さんとコンピューターで遊ぶのを楽しみにしていたから。」
この記述と、また、企業イメージのデザインなども手がけていたというみきおさんの仕事柄、マッキントッシュを使っていた可能性は高いのではと。
一方で、もう一台のパソコン(子供用)はウィンドウズだったという話が、ネット上にはちらほら出ているようなのですが、子供に慣れさせるためなら、学校での授業なども考慮して、無難にウィンドウズを使わせていたという見方はありかなと。
(劇団四季などにアクセスした一度目のネット接続は、この子供用のパソコンによった、という話があります。いろいろと、はっきりしない点が多い事件です。)
ともあれ、「31日午前10時5分」のパソコン起動とネット接続は、「犯人がその時間まで現場に居座っていた」という説(長期滞在説)の根拠とされてきたものの、
2014年末になって、警察が真逆といえる見方で捜査している、との報道があったと。
その時の記事を三つ、引用してみると、
■ 2014年12月12日、産経新聞:
世田谷一家殺害 犯人「翌朝逃走」説覆る可能性 パソコン誤作動が判明
東京都世田谷区で平成12年12月、会社員の宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が殺害された事件で、事件発生翌朝の可能性があるとみられてきた犯人の逃走時間帯について、警視庁成城署捜査本部が同未明の可能性があるとみて捜査していることが12日、捜査関係者への取材で分かった。
捜査本部が宮沢さん宅のパソコンのインターネットへの接続履歴を再検証した結果、犯人によるとみられていた翌朝の接続が誤作動だった可能性が浮かんだためで、捜査本部は当時の目撃情報などを精査している。
捜査関係者によると、事件は12月30日午後11時半ごろに発生したとみられ、隣の家に住んでいた妻、泰子さん=当時(41)=の母親(故人)が、31日午前10時過ぎに4人を発見した。
パソコンに31日午前1時20分ごろと同午前10時ごろの計2回接続履歴があったことから、捜査本部はこれまで、犯人が犯行後、翌朝まで住宅にとどまって逃走したとみていた。
だが、2回目の接続は同じサイトから数分間移動しないまま切断されるなど不自然な点があり、捜査本部が同じ機種を使って再検証した結果、このパソコンは数分間操作しなければ自動的に切断されることが判明。
発見時、マウスは机の下に落ちていたといい、泰子さんの母親が触れるなどして落下し、その衝撃で接続された可能性があることが分かったという。
1回目の接続はマウスが2回操作されていることから、犯人によるものとみられる。
目撃情報をめぐっては、事件発生直後とみられる30日午後11時半すぎに現場近くの路地から飛び出してきた不審な男が見かけられるなどしており、捜査本部はこれまで得られている情報の洗い直しなどを進めている。
■ 2014年12月12日、テレ朝ニュース:
世田谷一家4人殺害事件 犯人は夜間に逃走か
14年前、東京・世田谷区で一家4人が殺害された事件で、犯人が事件翌日の朝ではなく夜間に逃走した疑いが強いことが分かりました。
2000年12月30日の深夜、世田谷区の住宅で、宮沢みきおさん(当時44)ら一家4人が殺害されました。警視庁はこれまで、住宅1階のパソコンが31日午前1時18分と午前10時ごろの2回起動し、ネットに接続していたことから、犯人が朝まで現場にいたとみて捜査してきました。
その後の捜査関係者への取材で、マウスが机から椅子の上に落下した状態だったことや、午前10時ごろの起動の際にみきおさんの会社のページが表示された後、それ以上、検索した履歴がないことから、再現実験を重ねた結果、マウスの落下による衝撃でパソコンが誤作動した可能性が高いことが新たに分かりました。
このため、警視庁は、午前10時ごろに第一発見者のみきおさんの義母が室内に入った際に誤ってマウスを落下させた可能性があると判断し、朝の目撃情報が一切ないことなどから、犯人が夜間に逃走した疑いが強まったとみて、広く情報提供を求めています。
■ 2014年12月12日、日経新聞:
東京都世田谷区で2000年12月、宮沢みきおさん(当時44)一家4人が殺害された事件で、これまで犯行翌朝とみられていた犯人の逃走時刻が夜間だった可能性が高いことが12日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁成城署捜査本部がパソコンのインターネット接続履歴を再検証し、犯人の操作とみていた犯行翌朝の接続が誤作動とみられることが判明したという。
捜査関係者によると、事件は2000年12月30日午後11時半ごろ発生。
宮沢さんのパソコンには翌31日午前1時18分と午前10時の計2回、インターネットの接続履歴があった。
捜査本部は2回とも犯人がパソコンを操作したと判断し、犯人が犯行後の約11時間、宮沢さん宅に居座ったとみていた。
ただ、2回目の接続ではみきおさんの勤務先の会社のホームページが表示された以外に検索履歴がなく、発見時にパソコンのマウスが机から落下しているなど不自然な点がぬぐえなかった。
このため、捜査本部は同型のパソコンを使って再現実験を実施。その結果、マウスが落下した衝撃でネットに接続することが分かった。
第一発見者のみきおさんの義母が誤ってマウスに触れた可能性が高いという。
1回目の接続はマウスを2回操作した形跡があることから、捜査本部は犯人が操作したとみており、この時間以降の目撃情報を改めて精査している。
(引用終わり)
(こちらはANNニュースから)
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「午前10時5分」からのパソコン起動と、ネット接続について、警察によると、
「パソコンの誤作動による可能性が高い」
「その誤作動は、机からのマウスの落下により引き起こされた可能性が高い」
「マウスを落下させたのは、泰子さんの母親(遺体の第一発見者)である可能性が高い」
「したがって犯人は、その時間まで現場に居座っていたのではなく、31日未明のうちに逃走した可能性が高い」
腑に落ちないのは、この見方は従来言われていた時系列と合わないのではないかと。
従来言われていた時系列・・・というのは、
まず110番通報がなされた時刻は「午前10時56分」であり、
おばあちゃんが遺体を発見したのは「午前10時40分過ぎ」ということかと。
(ウィキペディアでもこうなっている。しかしなぜか、先の三つの記事では、おばあちゃんが遺体を発見したのは「午前10時過ぎ」「午前10時ごろ」とされている)
従来言われていた時系列が正しいとすれば、ですが、
「午前10時40分過ぎ」に最初に遺体を発見したおばあちゃんが、どうやって警察の言う「午前10時5分」にマウスを落下させるのか、という。
それとも警察は、「午前10時40分過ぎ」とされてきたおばあちゃんの遺体発見時刻は「間違い」であり、
本当の遺体発見時刻は、「午前10時5分」ごろだ、と言いたいのでしょうか?
仮にそうだとすれば、警察のその言い分は、正しいのかどうか。
そこを推測するためのヒントになるのが、入江杏さんの著書、『この悲しみの意味を知ることができるなら』の一節であり、やや長いですが、その部分を引用してみます。(以下、斜体部分)
朝食時のテレビは朝のニュースショー、といってもワイドショーのたぐい、ちょうど浅丘ルリ子と石坂浩二の離婚の話題が流れていた。
だから、9時半をまわった頃から朝食をとったことになる。
休みの日はのんびり過ごそうと、あまり時計を見ていたわけでもなく、何時ごろの出来事かを思い出す糸口になるのが、漫然と見ていたテレビ番組だったりする。
記憶をたどるため、事件当日の新聞のテレビ欄を、その後何度広げたことだろう。刑事さんのノートにも、テレビ欄の切り抜きが貼ってあったものだ。
ワイドショーの芸能ニュースが終わるころ、10時半をまわっていた。
朝食を終えようと、お茶を入れたところ、なんだか魚臭いのに気づいた。匂いだけではなく、煙が立ち込めてくる。どうしたのだろう? ふと見ると、グリルの火がつけっ放しになっている。母が鮭を焼いてくれたときに、火を止めるのを忘れていたらしい。
「こんなに物忘れが激しくなって」と母が慌てて火を止める。
私は急いで、居間とダイニングの窓を全部開け放して、煙を出す。12月の冷気があっという間に部屋に満ちたが、なかなか燻した匂いが消えない。
しばらくすると「寒いよー、もう閉めよう」と息子が言うので、すべての窓を閉める。見ると、もう11時近い。ゆっくり過ごすはずの朝の時間が、なんだか落ち着かなくなってしまった。
「あら、もうこんな時間、煮物始めようかね」と母。
「ぐずぐずしてたら、すぐ暮れちゃうから。大晦日だっていうのに泰子は何をしているのかしらね?」
(※ブログ筆者注:のちにテレビ朝日で放送された元FBIのサファリック氏による検証番組---これには入江杏さんも出演した---の再現ドラマでは、おばあちゃんが煮物の準備を始めたのは「午前10時40分」だったとされていた、とのこと)
「お休みだし、いいんじゃないの? みきおさんも12月は仕事でずっと遅かったことだし、まだ寝てるんじゃない?」
妹一家と二家族で煮物を作ろうと思って、母と昨日、素材は買っておいた。レンコンやら、八頭やら、だいこんやら、京にんじんやらの根菜類は、大人数のほうが経済的に使える。
冷蔵庫の中を探って、母は、「白だしがない」と言う。京風の白だしは、根菜類を薄口しょうゆ仕立てできれいに白く炊き上げてくれる。
「泰子のところからもらってくるわ」と母。
「瓶ごと持ってきちゃ、やっちゃんも困るでしょ。これでもらってきたら」と私は母に計量カップを渡す。
「朝くらいゆっくりしてもいいのにね。みきおさんも年末すごく忙しかったんだから。」せっかちな母にいささか呆れ気味ながらも私は内線電話を鳴らした。
プルル プルル
いつものように短く2回鳴らしていったん切る、すると向こうからかけなおしてくる。それが私たちの間の取り決めだ。
しばらく待ったが、かかってこない。
いつも目がまわるほど忙しいのだ。たまにはゆっくりしたらいい。そう思いながら台所を片付け始めた。
「まだ寝てるんだね、しょうがない。」母は、焦れて何回も内線電話を鳴らした。
プルル プルル プルル プルル プルル・・・・・・RRRRRRR
かかってこない。それでも私は別に不審に思わなかった。今までも、電話をすぐにかけなおしてこないことが時々あったからだ。子機がすぐに見つからなかった時や、手が離せない時には、すぐにかけなおせないこともあるだろう。少し待っていれば、「さっきはごめんね、電話くれた?」という電話が来るに違いない。
「起こして、白だしをもらってくるわね」母は計量カップをもって出て行った。
5分ほど経っただろうか? 10分も経っていないと思う。息を切らして、母が転がり込んできた。
「たいへん!!!」
「どうしたのよ?」
「なんだか隣が変なのよっ! みんな死んじゃったみたい、殺されてるみたいよっ!」
「ええっ?!」
何を言ってるんだろう? と思った。何を言ってるんだか全然意味がわからない。
「とにかく、はやくっ、はやくっ、来ておくれ!!」
一年ほど前に、礼くんが夜中にひきつけを起こしたことを思い出した。あの時は夜中に救急車を呼んで、たいへんだったのだ。
泰子は顔色を変えて、必死の形相で「礼ちゃん、礼ちゃん!」と大声で叫び続け、みきおさんも枕元で深刻な顔をしていた。
にいなちゃんは、弟の容態ももちろんだが、お母さんの取り乱した様子にすっかり心配になったのだろう、しゃくりをあげて泣いていた。
あのとき、救急車が到着するまで、どれほど不安だったか? 今度は何だろう? ガス中毒? ふと見ると、母の顔に血がついている。手にも血がついている。どうして? どうして? 一気に不安がふくらむ。
「早く、早くみんな来ておくれ!」母は靴下履きのまま、また飛び出していく。
その姿を追って、私と夫と息子は、取るものもとりあえず隣に行った。
あとで気がついたが、私は室内履きのままだった。
この直後に、入江さんらは宮澤家に入り、1階の階段下に横たわるみきおさんの遺体を発見。
さらに杏さんは、上階にいるであろう泰子さんらの安否を確かめようと、階段を上りかけるも、夫の博行さんがこれを制止、急ぎ自宅に取って返して、博行さんが110番通報したと。
(ちなみに、入江さんの夫の博行さんは、F1やル・マンのレーシングエンジン設計者として、イギリスを拠点に活動していた著名人だったとのこと)
入江さんの記述からは、おばあちゃんが計量カップを手に宮澤家を訪れた時刻は午前11時に近かったのであり、少なくとも、警察の言う「午前10時5分」におばあちゃんが宮澤家を訪れたとは読み取れないと思うのですが、どうでしょうか。
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ここで仮に、2014年末に放送されたサファリック氏の検証番組の通り、煮物の準備を始めたのが「午前10時40分」だったとして、(入江さんの記述では「見ると、もう11時近い」)・・・そこから、入江さんやおばあちゃんが隣の泰子さんへの内線電話を数度かけ、電話に出ない泰子さんにしびれを切らしたおばあちゃんが計量カップをもって隣家を訪れたのが「午前10時45分」だった・・・と仮定した場合、
おばあちゃんが合鍵で宮澤家に入り、まずは階段下のみきおさんの遺体(とその異様な状況)を発見し、気丈にも家の中を歩き回って、残る3人の遺体も確認し、息せき切って戻ってきたのが例えば8分後の「午前10時53分」あたりとして・・・(入江さんの先の記述では「5分ほど経っただろうか? 10分も経っていないと思う。息を切らして、母が転がり込んできた。」)
そして、おばあちゃんのただならぬ様子に驚いた杏さんや旦那さん、息子さんが、宮澤家に入り、1階階段下のみきおさんの遺体を発見し、さらに、杏さんが上階にいるであろう泰子さんらの安否を確かめるべく階段を上りかけるも、夫の博行さんに制止され、自宅に取って返して博行さんが110番通報したのが「午前10時56分」・・・
この流れに不自然さはないし、入江さんの記述とも矛盾はないと。
そもそも入江さんが記しているこの大まかな時系列というのは、事件発生以来、警察も幾度となく確認したことだろうと思うのですよ。
なので、おそらくその信憑性は高いのではと。
にもかかわらず、警察は2014年の末ごろになって、いきなり従来の時系列を否定するような情報をリークした。しかもその見立てを補強するべく、おばあちゃんによる遺体発見時刻について、「午前10時(ごろ)」とマスコミに流した形跡があると。
なぜ、そんなことになったのかと。
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警察の見立てのすべてが腑に落ちない、と言いたいわけではなく、例えば、「マウスが落下した衝撃でパソコンが起動し、ネットに自動接続する」・・・これはありうると思うんですよ。
つまりネットがいわゆる常時接続で、例えばブラウザがみきおさんの勤務先のトップページを表示したまましばらく放置され、パソコンはそのまま「スリープ」の状態になった、
その数時間後にマウスへの振動が加われば(警察によると「マウスが落下した」)、パソコンが「スリープ」から目覚め、それと同時に、ブラウザは再びみきおさん勤務先のトップページをディスプレイに表示した、しかし誰も操作する者がないので、数分後にパソコンは再び「スリープ」の状態へ・・・これはありうるかと。
しかし警察によれば、そのマウスに加わった振動というのは「マウスの(机からの)落下」だというのであり、しかもそれが「午前10時5分」に、「隣のおばあちゃんによって引き起こされた可能性がある」のだと、これは、従来言われていた時系列的にどうなのか、おばあちゃんが宮澤家に入ったとされる時刻から40分ほどもずれでいるではないか、と。
この警察の唐突な見立てを成り立たせるためには、
これまでの時系列を「間違いだった」として否定するか(とくに「おばあちゃんによる第一発見時刻」や「110番通報の時刻」)、
あるいは、(これまでの時系列を)否定はしないが、実はおばあちゃんが午前10時5分ごろに宮澤家に潜入していた事実があったとするか、
またあるいは、みきおさんのパソコンの内蔵時計が40分ほど遅れていたため、おばあちゃんによる「午前10時45分」のマウス落下が、パソコンのログ的には「午前10時5分」のマウス操作として記録されていたのだとするか、
(ちなみにみきおさんは几帳面な性格で、置かれた本の少しのずれも気にして直すほどだったといわれ、小学2年のころから亡くなる前日まで日記を書き続けていた---母の節子さん談---ほどにマメな性格だったとのこと。入江さんの著書によれば、1階のみきおさんのパソコンは「仕事用」だったとのことで、みきおさんがその内蔵時計40分のずれを放置するなど、雑な扱いをしていたとは考えにくいものがあるが・・・)
あるいは、おばあちゃんの行為を抜きで考えるとすれば、たとえば下に落ちるか落ちないかのギリギリのところに置かれていたマウスが、31日の午前10時ごろに、向かいの家に来た宅配便トラックのドドドという振動(あるいは、たまたま起きた震度1の地震)によって落下したのだとか、
いや、マウスは31日未明の時点ですでに落下していたのであり、その状態でパソコンがスリープになっていたところを、31日の午前10時ごろに、向かいの家に来た宅配便トラックのドドドという微振動(あるいは、たまたま起きた震度1の地震の揺れ)がマウスに伝わり、パソコンがスリープから目覚めたのだとか、(午前10時ごろに、宮澤さんの向かいの家に宅配便のトラックがバックの警告音を鳴らしながら入ってきた事実がある)
またあるいは、「午前10時5分」に、ネズミがマウスを落としてパソコンをスリープから起こしたのだとか、
そういう設定をし直すことになるかと思うのですが、しかしそれらの設定に無理はないのかと・・・。
そこまでしてマウス落下の原因を説明するよりは、
「犯人がその時間まで現場に居座っており、午前10時5分に、なんらかの理由でマウスを落下させた」
という従来通りの見方を維持するほうが、まだしも、その後の遺留品を多数放置している状況なども含めて、現場の状況を自然に説明できるような気がするのですが、どんなもんでしょうか。
しかし、正直よくわからない論点です。
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次に、抜けていた(?)パソコンのコンセントについて、
私はこの、「パソコンのコンセントが抜けていた」という情報のソースを知りません。
なので、これまでは「コンセントが抜けていた」と聞いて、漠然とそれを信じていた程度でした。
しかし、最近こうして詳しめに調べ始めて、どうも、この情報のソースがあやふらやしいこと、
そればかりか、「ガセネタだったのでは?」という見方さえ出ていると知り、
考えるのもどうかとは思いつつも、長らく論点の一つであったことは間違いないと思われるので、
情報自体はあやふやながらも、今回こうして取り上げてみることにしました。
先にも引用しましたが、朝日新聞出版、『真犯人に告ぐ!』(2010年1月25日発行)に、こう書いてありました。
「逃走直前の午前10時5分にも再びパソコンを4分16秒起動させ、今度は、みきおさんの勤務先である外資系会社のHPなどにアクセスした後、強制終了した形跡があった。」
ここには、「強制終了した形跡」とはあるが、「コンセントが抜かれていた」とは書いていません。
書いてはいませんが、この事件を推理してきた人々の間では、コンセント抜きの件は事実として長らく語り継がれていたようなので、私はそのソースを知らないのですが、おそらく、遠い昔にそのソース(新聞記事か何か)があったのだろうと、
そして、『真犯人に告ぐ!』のレポートの作者も、おそらく「強制終了」=「コンセント抜き」のこととして書いたのでは、と想像しています。
ところが一方で、2014年の末ごろに出た情報の中では、コンセント抜きの件は出ておらず、スルーされた形であると。(先に引用した黄色い■の三つの記事)
「2014年の末ごろに出た情報の中で触れられていないなら、コンセント抜きという行為自体が、実は、存在しなかった(つまりガセだった)のではないか?」
その見方もあると思うのですが、私が思うに、真相はその逆ではなかったか、
つまり、コンセント抜きという行為自体は、長らく言われていた通り、実はあった、
しかし、警察的には今さら触れたくても触れられない事情があり、2014年末のリークの中でもスルーして、ごまかしたのではないかと。
(ごまかしたというか、今さらその件に触れて問題提起したくない、もうその件は忘れてほしい、ということ)
警察のその事情とはどういうものか、妄想してみるとすると、
まず、コンセント抜きがあったとすれば、そのタイミングは、おおむね次の3つではなかったかと。
1. 31日午前10時5分から4分16秒パソコンが起動した直後(単純計算ですが、「午前10時9分16秒」あたり?)
2. 第一発見者であるおばあちゃんが宮澤家に入ったと思われる、31日午前10時45分前後(従来の時系列によります)
3. 31日午前10時56分の110番通報で多数の捜査員が現場に立ち入った後(従来の時系列によります)
このうち、1や2の時間帯にコンセント抜きによると思われる強制終了の形跡があった場合、それは、「その時間まで犯人が宮澤家に居座っていた可能性」を示唆する、強力な状況証拠の一つになると考えるのが普通ではないかと。
もし本当にそうした状況証拠があれば、警察としては、
「コンセントが抜けるのは、マウスが偶然に落下すること以上に考えにくい」
「コンセントは、人為的に抜かれた可能性が高い」
「コンセントを抜いたのは、犯人である可能性がある。その場合、犯人はその時刻まで現場に居座っていたとみることができる」
とでも言いそうなのですが、
現実はその逆で、警察は2014年の末ごろになって、「マウス落下による自動ネット接続の可能性」などを言い出し、しかもその責任を、明言しないまでも、暗に故人であるおばあちゃんに負わせ、世間で長らく議論されているコンセントの件には言及しないまま、
「犯人は、31日の未明のうちに逃走した可能性が高まった」
などと言い出したと。
警察のこの態度から逆算すれば、何か見えてくるものがあるのではないかと。
つまりおそらくは、1や2の時間帯にコンセントが抜かれた形跡は、もともとなかったのではないか、
そして警察にとって、犯人が1や2の時間帯まで現場に居座っていたかどうかは、コンセント抜きではなく「ネット接続」をどう判断するかにかかっていたのであり、その判断を(風化防止の意味合いも込めて)リークしたのが、2014年の末だったのではないか、
そして、1や2の時間帯にコンセントが抜かれた形跡がなかった---つまり、犯人がその時間帯までそこに居座っていたことを推知しうる強力な状況証拠がなかった---からこそ、「ネット接続」についても積極的には犯人に結びついていかず、
「マウスが落下して、その衝撃でネットに自動接続したのだろう」
「マウスを落としたのは、おばあちゃんの可能性がある」
などと、いわば消極的な方向に結論付けられたのではないかと。
ともあれ自分的には、
少なくとも1や2の時間帯には、コンセント抜きの形跡はなかったのだろうと、
仮にコンセント抜きがあったとすれば、それは3の状況、
つまり、110番通報で捜査員が現場に立ち入った後でコンセントが抜かれた、
そしてコンセントを抜いたのは、おそらく、警察の誰かであろうと。
これも妄想の話、的外れなことを言っているかもしれないということを前提の上なのですが、110番通報後にコンセントが抜かれた時のシーンを想像してみると、現場に立ち入り、パソコンに目をやったトレンチコート姿の警部が、(以下、納谷悟朗さんの声で)
「バッカモーン! コンピューターのコンセントがつながれているではないかぁっ! コンピューターの達人は遠方からでも中身を操作できるというぞ! 重要な証拠が改ざんされてしまったらどうするっ? いますぐコンセントを抜けーっ!!」
と、さすがにここまでのことはなかったと思われるにせよ、
入江さんによると通報後すぐに
「成城署」
「警視庁捜査一課」
「鑑識」
この3つのグループが来たと。
このグループのうちの誰かが、
迂闊さ、勘違い、手違いなどで、うっかりコンセントを抜いてしまった、
あるいは、現場に多数の捜査員が立ち入り騒然とする中で、
「スリープ」になっていたみきおさんのパソコンが、何かの拍子に起動を始めた、
それを見ていた某警部が、「おい、これはコンピューターではないか? 勝手に動き出したぞ! 中身が変わったらどうするっ? 電源落としとけ!」と一人の部下に命じたところ、
シャットダウンを試みようとした部下が、「あー、これマッキントッシュですね、どうやって落とすのかな、えーっと・・・」とかやっていると、先ほどの警部が、「いいから早くコンセントを抜けええっ!」と怒鳴った、慌てた部下がマウスを椅子の上に置き、床をごそごそしながらコンセントを抜いて強制終了させたところ、
しばらくして別の人物が「証拠品の押収」だということで、そのパソコンを持ち出した。
後日、ログを解析してみると、コンセント抜きによると思われる強制終了が発生した時刻は、「110番通報後」の時刻を示していたが、「コンセントを抜いたのは自分です」と申告してくる者がなかったので、この件については、捜査本部の中でも、長らくうやむやにされていた。
一応、メディアに対しては、「何時何分何秒に抜かれたのか」という点を伏せる形で、
「パソコンはネットに接続された後、強制終了されていた(コンセントが抜かれていた)」
とだけ伝えられていたが---「コンセントが抜かれたのはネットが切断された直後である」とも読めるリークの仕方だったのが、長年の誤解と議論を呼んでしまった---やがてコンセントを抜いた本人が「実は自分が・・・」と認めたか、あるいは誰がやったのかはついに判明しなかったが、ログの解析からして、
「110番通報後に、身内(警察)の誰かがやったと判断せざるを得ない」
という、気まずい結論に落ち着いた。
要するに、「コンセント抜き」の問題も、結局はあの、
「消えた年賀状」
と同じく身内(警察)の仕業だったらしいとなり、つまりは、一種の不祥事であり、
その数年前から立て続けに発覚していた先の「年賀状持ち出し」や、「捜査報告書の偽造」など、一連の不祥事の中、このコンセント抜きについても、「実は警察の誰かが抜いていました」とは今さら言いにくかったので、これは、責任の所在をはっきりさせず、うやむやにしておこう・・・と何年も放置していたところ、
いよいよ年末恒例のリークのネタも尽きてきた2014年の末ごろ、風化防止の意味合いもあり、またそろそろこのネタにも触れていいだろうという判断のもと、
「同機種で実験した結果、マウスが落下すれば、その衝撃でパソコンが起動し、ネットに自動接続することがあるようだ」
「マウスを落下させたのは、第一発見者であるおばあちゃんの可能性がある」
という、従来の時系列を無視するかのような唐突なリークを行い、
それと同時に、明示はしないまでも、
「その後の強制終了(コンセント抜き)も、おばあちゃんの仕業である可能性がある(だからもう、コンセントのことは忘れてください)」
ということをにおわせ(強制終了の時刻が何時何分何秒であるか、伏せておくのがミソ)、
その時すでに故人となっていたおばあちゃんに半ば責任を負わせる形で、うやむやに幕を引いたと、これは、妄想が過ぎるでしょうか?
しかし、世間に流布している噂(この場合はコンセント抜き)を長らく放置し、
14年経ってから、明確な説明もないまま、暗にその噂や時系列のすべてをひっくり返すような声明を出せば、勘繰りたくもなると思うのですが、どんなもんでしょうか。
ともあれ、自分的には、コンセント抜きは確かにあったのだろうと、
しかし、抜かれた時刻は、おそらく「午前10時56分」とされる110番通報の後であり、
抜いたのは、その時現場に踏み込んだ警察の誰かであり、
犯人やおばあちゃんが抜いたわけではない、
そして、「犯人が、31日の午前10時過ぎまで現場に居座っていたかどうか」の問題は、
「コンセント抜き」ではなく、その前の「ネット接続」をどう判断するかの問題であり---警察的にはそのネット接続については、
「マウス落下の衝撃によっても、ネットへの自動接続が起こりうる」
「ネットへの接続があったとはいえ、それはみきおさんの勤務先サイトのトップページに短時間アクセスしたのみで、なんらマウスやキーボード操作がなされないまま、再び切断している」
という状況などから、「犯人によるアクセス」とは見なかった様子ですが---そこ(ネット接続)をどう解釈するかは悩みどころ、という感じかと。