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庭の紫陽花

1番好きな色

 

脳神経内科の外来では、基本的に患者さんは、医師に相談があって受診されています。

 

前回処方されたお薬の効果についてとか

 

今後予想される予後についてとか

 

他の病院からもらっているお薬の飲み合わせから、体重が減ってきたことなど

 

”聞きたいことがあって” 病院に来られています。

 

ところが、人間ドックの診察では、2極化しています。

 

こういう時じゃないと、医師に会わないから、なんでも聞いておこう”という方と

 

”持病があるし、肥満だから痩せなければ血圧がさがらないことは自分が一番わかっている。だからいちいち指摘されたくない” という方です。

 

つまり、なんでも聞きたい人と、何も言われたくない人がいます。

 

なので、問診票をみて、「胃が痛いのが気になります」と書かれていたら、その点についてのみ考えられる病気を説明します。

 

問診票に「特に症状なし」と書いてある方には、基本何も聞かずに診察します。

 

診察のあとに、”実は、〇〇が気になっていて”と言われたら、お話を聞きます。

 

人は、”自分でも悪いとわかっていること、治したほうがいいこと”というのは、自分が一番わかっておられるのです。

 

初対面の医師に、”ちょっと太り過ぎですから、痩せたほうがいいですよ”などと言われたら、むっとする方もいます。

 

なので、私は、体脂肪が50%を超えていて、明らかにそのせいで、膝関節が悪くなっていて痛みがでていても、指導はしません。

 

”なにか気になることはありますか?”と聞いて、その方が、”膝が痛くて”と言われたとします。

 

そして、その言葉のあとには、ご自分から”体重を減らさないといけないのはわかっているんです”という発言があります。

 

そう言われたら、”そうですね。骨は太くなりませんから、膝関節をいたわるためには、体重を減らされたほうがいいですね”と話します。

 

でも、ここでも、無理に、減量についての指導はしません。

 

ご本人から、”どうやったら痩せますか?”と、主体的な質問がでるまでは自分の意見を押し付けることはしません。

 

動機づけは必要ですが、聞かれてもいないのに、自分の持っている知識を延々と話されると、嫌になると思うからです。

 

医療従事者は、特に、相手に良くなって欲しいという思いが強いために、”こうした方がいい”と相手に知識を披露しがちです。

 

また、友達とLINEしていて”同僚が〇〇で悩んでいて”という話題になったとき、自分がその分野に興味が強いと

 

”こうした方がいい”という持論を、聞かれてもないのに並べてしまう人がいます。

 

私は、例えばどうしたらいい?と聞かれたら、逆に、どうしたらいいと思う?と聞きます。

 

相手が、”私はこうした方がいいと思う”という考えを持っていたら、その問題について、相手も知識と経験があるということになります。

 

そうしたら、”それでいいと思う。付け加えるとすると・・・”と1つ2つ自分の考えを伝えます。

 

”受診者さんは、友達は、知らないだろうから、私が全部教えてあげなくちゃ”では、単なる押しつけになってしまいます。

 

なんとか相手の力になってあげたい、という気持ちは尊いですが、それが、おせっかいになっていないか、振り返る必要があると思います。

 

以前、私は、夫の体を心配するあまり、夫の日々の過ごし方や、食習慣に、色々口を出していました。

 

ある日夫から”おせっかいだ!!”と言われました。

 

その時の私の強いショックといったらありませんでした。心配して色々言っているのに、と結構泣きました。

 

それからは、夫が相談してきたときに限って、アドバイスしています。

 

心配と、相手をコントロールしようとするのは極めて近い関係にあります。

 

本当に相手のためになっているのか?を考えて行動したいと思います。