いつもお読みいただきありがとうございます😊
最近、私は、外来や、人間ドックで複数回、いろんな人に相談されたことを勉強し直して記事にしております😊
そういった意味で、仕事というのは、自分の知識を整理して、学び直す良い機会だと思います。
「夜ねているとき、脚がつるんです」
このご相談、最近とっても多いです。
脚がつるというのは、医療用語では、「有痛性筋痙攣」といいます。
筋肉が、いきなりけいれんするわけですから、そりゃ痛いです。
では、筋肉はどうやって動いているのか?というと、神経が動かしております。
その神経のまわりには、細い血管が巻き付いており、神経を栄養しています。
この神経は、運動神経、感覚神経、そして自律神経があります。
運動神経は、文字通り、筋肉を動かし、感覚神経は、温痛覚や振動を感じます。
自律神経は以前の記事にしたように、交感神経と副交感神経があり、血管を収縮したり拡張したりします。
では
この神経は、どうやって活動しているのか?と考えます
神経も細胞の1種なので、細胞膜を通して、プラスのイオンとマイナスのイオンを交換して活動しています。
このプラスイオンがNaだったりMg、Ca、Kだったりします。
こうやって考えると、つまり、脚がつる原因として、電解質異常、というのが想像できます。
医学部の勉強では、生理学などの医学の基礎講座が1〜2年生であります。
生理学を勉強して体のしくみを基本から知っていると、〇〇の病気の原因は?というときに、丸暗記しなくてもすみます。
膨大な医学知識をすべて暗記するのは難しいので、このように、現象を自分で分解して考えるのが大切です。
脚がつる原因をあげますと
①電解質異常、脱水
②脚の神経が圧迫される病気:腰部脊柱管狭窄症、圧迫骨折など
③末梢神経障害:糖尿病や、各種膠原病、タバコ、飲酒、ビタミン欠乏などによる障害
④冷え:末梢の血管が、うまく拡張しない。筋肉量の不足とも関連
⑤静脈瘤:老廃物を心臓へもどす働きである脚の静脈がうまく働かない
⑥甲状腺機能低下症
⑦低酸素状態:貧血や、COPDなどの肺疾患、各種心疾患
⑧腎機能障害
⑨運動不足による筋力低下
⑩特殊な遺伝性疾患による筋痙攣
このように沢山の原因があります。
有痛性筋痙攣だと医師が思ったら、これらすべての原因を調べられるように、採血を行い、必要であれば、腰椎MRIをとり、下肢の静脈のエコーを行う、ということになります。
「脚がつる」という症状だけでも、これだけの原因があります。
診察した医師が、上記のようなすべての原因を知っていないと、いつまでたっても原因がわからないことになります。
で、とりあえず、脚がつるときに効く漢方薬を処方してみるか、ということになってしまいます。
患者さんから相談されて、自分がわからないな、詳しく知らないな、と思ったら、その都度メモして、家で調べてみる。
小さな積み重ねですが、大切なことでだと思います。
また、調べて丸暗記、ではなく、”なぜそうなるのだろう?”と思考を深めることが、脳を鍛えるのだ、と脳神経内科医としては思うのです。
健康情報をなにかで聞いた時、ご自分で、その薬やサプリの効果ってほんと?お茶の効果ってほんと?
どういう機序で効果がでるの?と考えることも、脳トレになると思います😊