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今日は、「患者さんの受診にご家族が同席されるとき」について書きたいと思います。
それというのも、最近、立て続けに、突然ご家族が一緒に来られるケースが多かったからです。
事前に教えてくだされば、こちらも、ご家族が何を期待されているかわかるので、あらかじめ説明用紙などを作れるのでありがたいのですが・・・
最近のケースはいずれも、切羽詰まった様子の方ばかりでした。
こういった場合2つ要因があります。
①診断、治療に疑問がある場合
②本人に言いたいことがあるが、自分が言っても聞かないので医師から注意してほしい場合
上の2点、どちらも外来での仕事として難易度は高いです。
なぜなら、患者さん自身は、何回も私の外来に通院されているので、私がどういう医者か、わかっているのですが・・・
初対面の息子さんや娘さん、配偶者だと、”本人から聞いている医者像”しかないからです。
なので、こちらも当然、緊張を強いられます。
できれば、、あらかじめ、〇月◯日の外来に、家族も同席したいです、こういったことを聞きたいです、と教えてほしいなと思います。
その大きな理由は、再診の患者さんの枠は10分でありその時間内に患者さんの診察をし話を丁寧にきいて、治療方針をたてないといけないのです。
そこに、突然ご家族が来られると、1から説明することになり、時間が大幅に必要となります。
このため
初診のときにご家族が同席されなかった場合は、”次回の検査結果のご説明のときはどなたかご家族もご同席くださいね”と伝えています。
ご家族が近くに住まれていない、あるいは独居の方には書面で結果を渡すようにしています。
ただ
認知症の患者さんが3ヶ月おきの受診の間に、急に症状が悪くなったから、とか
パーキンソン病の患者さんが、明らかに状態が悪化しているから話がききたい、とか
いろんな急を要する理由がご家族の同席にはあります。
なので、その場合は患者さんの診察を行ったあと、ケースによっては患者さんは待合室で待っていただきご家族の話だけ聞きます。
このときの内容はすごく切実なことが多く、泣いてしまわれる方も多いです。
それだけ、みなさん、我慢され、もどかしい想いをされ、苦しまれているのです。
次に待っている患者さんにはMAさんから事情を説明していただき、ちゃんとその方の話を聞きます。
”お母さんのことを思って、こうした方がいいって、私、自分の生活も余暇も犠牲にして病院付き添っているのに、邪魔扱いされる。もう限界です”とか
”何度いっても、リハビリや、デイサービスに行かなくてどんどん動けなくなって”とか
”認知症の症状がひどすぎて、病気だとわかっているけど、殺意がおきる”とか
切実です。
外来で、10分程度、患者さんの診察をしている私などには想像もできない苦しみ、大変さが家族にはあります。
ご家族の同席は、緊張を強いられる時間でもありますが同時に、”私も一緒に考えていますし、ご家族のご苦労もわかります”と伝えることができる時間です。
病気になったご本人が1番辛いのですが
それを支えて、なんとかしようと熱心に取り組まれるご家族も辛いのです。
私ができることは、医師として客観的な意見を患者さんに指導しつつ、ご家族には寄り添うことです。
そして、ご家族が本人にいいたくても言えないことを、私は別に嫌われてもいいので、ビシッと伝えます。
そういう時、娘さんから言われても頑として聞かない親御さんも
”先生が言うなら、そうですね。わかりました。”と言ってくださるのでした。
親のプライドというものがあり、子供はいつまでたっても子供なのでしょう。
子供からあれこれ指図されるのは、嫌なんだと思います。
医師は、患者さんに心地の良い言葉ばかり言っていてもいけないので、時には厳しいこともいいます。
”そんなに動かないでいると、転んだ時、筋肉がなくて、骨が折れますよ。まだ動けるのですから、ちゃんとリハビリ行ってくださいね”など、具体的に予想されるリスクを伝えます。
すると、”骨折して寝たきりになったら、困ります”と考えてくださるようになります。
医師が怖いことを言う分、ご家族には、本人にできるだけ寄り添って、優しく接することができる心の余裕を持っていただきたいです。
そのためにも、医師は、患者さんのご家族のケアも大事だな、と思うのです。
患者さん本人が安心できる環境というのは、やはり周囲の人が穏やかな場合が多いです。
ご家族が本人に良くなってほしいあまり、必死になってしまうと、どうしてもギスギスします。
上手に、介護保険などを利用して、ヘルパーさん、ケアマネさん、訪問看護師さんや医師を頼って、ケアをする家族の方も休んでほしいと思うのです