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昨日は、脳神経内科の外来でした。
以前にも書きましたが、私の外来では、患者さんが自由になんでも相談できるように心がけています。
このため、いろいろなことを相談されます。
その相談内容が、私では無理だと思ったら、すぐに院内の専門の先生に紹介します。
昨日、遠方から通ってきてくださっている60代のパーキンソン病の女性患者さんMさんが来られました。
2ヶ月ごとの再診にしているので、3月以来でした。
今年の2月にはお孫さんが生まれたばかりで、3月は大変だった〜と笑顔で言われていました。
そのMさんが昨日
”先生、私、今週気がついたんだけど、左の胸にしこりがあるみたいなの”と言われました。
嫌な予感がしました。
実は2年前ほど前に、Mさんが咳が止まらないということで、肺のCTをとりました。
幸い、肺には異常がなかったのですが、左乳腺に小さいが腫瘍疑いがある、と指摘されていました。
2年前に、そのことはMさんに伝えて、”乳癌検診、すぐにうけてくださいね”と言っていました。
ところが、Mさんは、家族のことや、親のことを優先され、これまで一度も乳癌検診を受けていなかったのでした。
昨日、外来で、左乳腺の診察をさせていただくと、専門医ではない素人の私でもわかるほど、硬いしこりを触れました。
これはすぐに紹介しないと!と思い、診察したあと、Mさんに伝えました。
”Mさん、私は乳腺については素人ですけど、やはりしこりがあります。すぐに専門医紹介しますね”と
すると
Mさん、うっすら涙をうかべて
”やっぱりそうなんですね・・・先生が前に、すぐに検診うけてねって言われていたのに、後回しにして先延ばしにしていたらこんなことになってしまって・・・”と言われました。
Mさんは、とても我慢強い方です。
我慢強すぎて、以前
”先生、腰がどうしても痛くて。湿布はってるんだけど治らないの”と言われたので、レントゲンをとると圧迫骨折していました。
ショックをうけているMさんに
”パーキンソン病は急に悪化したり、命に関わる状態ではないです。今日は絶対乳腺外科受診してくださいね”と背中をさすりながらいいました。
幸い、乳腺外科の先生もすぐに診察してくださり、乳腺エコーが即座に行われました。
結果
invasive ductal carcinoma, IDC、つまり浸潤性乳癌の疑い、と記載されていました。
Mさんは、”母親とか兄弟に乳癌がいなかったから、乳がん検診うけてなかった”といわれました。
乳癌は遺伝性のものと、非遺伝性のものがあるのに、”家族に乳癌がいないから検診しなくてよい”と思ってしまったことが残念でした。
2年前のときに、受診してくれていたら。
私もそのことを、もっと強くいっていれば、と後悔が残りました。
日本の乳がん検診の受診率は、44歳から69歳では44%と低い水準です。
検診をうける恥ずかしさとか、検査が痛いとか、忙しいとか、いろんな理由があると思うのですが
ぜひ乳がん検診をうけてください。また、日頃から、触診もしてください。
早期にみつかれば、癌は治療方法が複数ありますが、進行した状態となると、選択肢が減り、難しい状況にもなります。
私も、2年ごとに乳がん検診、受けています。
今年も、マンモグラフィーとエコー、両方検査しておこうと思っています。