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夫のお誕生日前祝いで

いつもの小さなフレンチへ

 

昨日は、尊厳死や延命処置について、医師は、入院時に説明することを書きました。

 

死についての考え方は、本当に、人それぞれで、またご家族ごとに違います。

 

そして、患者さん、つまり、自分の親であったり、子であったりが、死に直面するかもしれないという話を、初めて聞く方も多いのです。

 

命について、丁寧に説明しないといけません。

 

マニュアル通りに淡々と説明する先生もいましたが、親御さんが搬送され入院で動揺されているご家族に、さらに動揺を与えてしまい、不信感につながってしまいます。

 

まずは、丁寧に、予想される診断名と、なぜ病気を発症したのかを説明します。

 

例えば、脳梗塞の原因は

 

加齢、喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病、心房細動などの不整脈、特殊な膠原病、大量飲酒、など様々です。

 

入院時までにわかっている情報から、入院された患者さんが、なぜ脳梗塞になられたかを推測して、説明します。

 

詳しい採血は、翌朝行うため、あくまで発症までにどんな病気になられていたか、どんな生活習慣だったのか聞いてそこから発症原因を特定します。

 

”お父さんは、長年、タバコを吸われていたこと、お酒が多かったこと、血圧の治療も残念ながらされてなかったことが、今回の脳梗塞の要因になられたと思われます。

 

ERでの採血結果では、糖尿病も見つかりました。

 

脳の血管も(MRAをもとに)あちこち、このように、曲がっていたり、狭いところがあって、動脈効果が強いようです”と

 

すると、ご家族は、だいたい、”やっぱり” と言われます。

 

”私が何回言っても、タバコも酒もやめてくれませんでした。

かかりつけの先生にも怒られてしまって、それで、機嫌悪くなって。血圧の薬もやめて。

こうなったのは仕方ないですよね”

 

と奥さまや、娘さんが言われることもしばしばでした。

 

そこで、次に、脳梗塞は点滴が主体であり、すでに開始しているが、脳の血管が詰まると、脳の細胞が壊れて、そこから水がでて、脳浮腫を起こすため、治療を行っても病状は進行することがあることも伝えます。

 

ここまで説明したあとに

 

”脳浮腫が予想を超えて広がったり、入院中に再発した場合は、命にかかわることがあります。御本人は、延命について、どのようにお考えでしたか?”と聴きます。

 

この質問に対して、すぐに回答があるご家族は多くはありません。

 

死ぬ話とか、家族でしたことがないです。なんとなくもっと先だと思っていて” というのが1番多いです。

 

たまに、”自分が倒れたらなにもしないでくれ。意識がなくなったらそのまま死なせてくれ”と言われていたという方もおられました。

 

ただ

 

これは、ご本人の希望であり、ご家族は納得されていない場合もあるのです。

 

一般に1番は御本人の意思が尊重されます。

 

なぜなら、命は、御本人のものだからです。

 

しかし、実は、人の命というのは、自分だけのものではなく、ご家族、ご友人のものでもあるという、社会的な側面もあります。

 

人工呼吸器につながっていて意識がなくても、生きていてほしい、というご家族もおられます。

 

延命を行うかどうか、という命に対する究極の質問は、ご家族と患者さんの関係を、あらためて、問い直す重要な機会です。

 

その日に決められない場合は、期日を設けて家族内で話し合っていただきます。

 

この話し合いは、その後の家族関係にも大きく影響を与えます。

 

”自分は親に対してどんな感情をもっていたのか。

 

親にちゃんと向き合っていたのか?

 

死が目前にせまったとき、後悔ないか” 

 

と問い直すからです。

 

とても、とても大切な時間です。

 

その問いを真剣に考え、悩んだ結果、患者さんが無事退院されたとき、お互いの生き方が変わります。

 

私自身は、エンディングノートをすでに書いていて、そこに、具体的にどうしてほしいか書いてます。

 

父も亡き母も、”なにもせず自然に見送ってほしい”と言っており、母のときは、そのようにしました。

 

安らかな最期でした。

 

私が言えるのは、死は必ず、誰にも平等に訪れるということです。

 

死の話をタブー視せず、”延命についてどう考えるか”ということを、このように長い連休で家族に会うときに聞かれておかれたほうがよいと思います。

 

病気になって、搬送されて、その時、医師から ”どうしますか!?”と迫られる機会はいつか訪れるからです。

 

この大切な問いを時間があるうちに考えていただきたいと思い記事にいたしました。