いつもお読みいただきありがとうございます。
先日、ビタミンB12欠乏症の患者さんのことを書きましたら、”ビタミン欠乏は採血でわかるのですね”というコメントをいただきました。
それで、もしかしたら、みなさんも、
”病気の診断ってどうやってするのか?”
思われることがあるのでは?と思い記事にいたしました。
例えば 「頭痛がひどい」という症状があったとします
その場合、まずは問診を行います。
丁寧に問診をすることで、8割くらいは、どのタイプの頭痛かわかります。
次に、1番頻度が多い病気を念頭において診察します。
頭痛の場合は、ほとんどが肩こりと、ストレートネックによる、筋緊張型頭痛なので、頭、首、肩、背中の筋肉を触ります。
そして、意外かもしれないですが、頬の筋肉と側頭部の筋肉の診察もします。
歯のくいしばりで、頬が硬くなり、頭痛がおきることがあります。
なので、体に全く触れずに、頭痛の診断する医師は、はっきりいって、ダメです。
また
頭痛の原因が、副鼻腔炎や、歯の問題、目の病気が原因のこともあります。
場合によっては、耳鼻科、歯科眼科、も受診しもらうことがあります。
頭痛の原因が、首が悪そうだなと思ったら、「頚椎レントゲン」を行います。
頭痛以外に、診察で、腱反射が異常、とか、しびれがある場合は
レントゲンに加えて「頚椎MRI」を行います。
MRIは、神経をみるのには必須の検査です。
頭痛があって、頭部CTを行うときもあると思います。
これは、”脳出血がないこと、脳腫瘍がないこと”の確認はできますが、情報量が少ないのです。
なので、動脈瘤や、脳梗塞(過去も含めてみることができる)の診断は、頭部MRIが必要です。
一般に、〇〇欠乏症、というのは採血すればほとんどわかります。
亜鉛、葉酸、鉄、各種ビタミン、ホルモンの数値などは採血でわかります。
また、膠原病関連疾患は、血液検査で「自己抗体」を測定することで診断できることが多いです。
そのうえで、その膠原病に、間質性肺炎を合併しやすい、という特徴があった場合は、
「胸部CT」を行う、ということになります。
病気によって、合併する疾患がある程度わかっているのです。
例えば、心房細動という、心臓の不整脈がある人は、塞栓症という大きな脳梗塞を起こしやすいので、注意が必要、とかです。
このように、医師は、1つの症状で受診されても、即座に
それに付随する多くの合併症を連想し、検査を追加し、漏れがないようにしないといけません。
先日の記事で、”いい先生でも不勉強な先生はダメ”ということを書いたのは、このためです。
専門医であっても、”専門バカ” になってはいけないのです。
医学部では、全科目にわたる膨大な病気と解剖の勉強を6年もするのです。
それを国家試験に受かった瞬間に忘れてしまうようではダメだと思います。
”肩こり頭痛だね、じゃ、この痛み止めだしておくね”という先生は最低最悪だと思っています。
なぜ、肩こりがおきるのか、日常生活はどうなのか、腕の位置はどうなのか、運動習慣はあるか?など、複合的に患者さんをみて、治療しないといけないのです。
今日、書きましたのは、医師が行っている病気の診断の一部です。
悪性腫瘍や、血液の癌は、各臓器の生検や、骨髄穿刺が必要です。
ご自分が病気になられたとき
”どんな方法で診断するのか?検査は充分されているか”を調べていただくとよいかと思います。