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以前から、私は脳神経内科、ときどき、心療内科外来をしているとブログでも書いてきました。
心療内科というのは医者なら誰でも標榜できる科のため、精神科医でなくても開業医の先生が標榜できるというなんとも曖昧な定義の科です。
ということは、医師なら、誰でも、自分の患者さんに対して、メンタルからくる不調(心療内科が扱う疾患)をケアすることができるということです。
ただ、忙しい外来では、話が長くなり、泣いてしまったりする、メンタル系の不調について積極的に聞きたい先生はいないのが実情です。
私も、とっても苦労して時間をとってきました。
時に残業することになったりもしましたが、1人の患者さんと向き合う時間は、その時しかないのだと思ってきました。
そんな気持ちで、以前記事にした職員のKさんと何ヶ月も向き合ってきました。
昨年の10月から、毎日頭痛がする、眠たい、夜起きてしまう、めまいがする、といった症状がありました。
次第に、外来で話しているだけで泣いてしまうようになり
会話がまとまらず、”どうしていいかわからない。仕事は嫌だけど休みたくない”と頑なでした。
私は、うつ状態だと思ったので、”そんなに無理しなくても、休職して、一回自分を大切にして向き合ったほうがいいよ”と何度も話していました。
しかし、彼女は毎回 ”でも” ”だって” を繰り返し、30分以上、外来で泣くようになりました。
これは、もう、診断書を書いて強制的に休んでもらうしかない! そう思いました。
その結果、休職となり、2週間後には頭痛はよくなりました。
そして少しですが笑顔になってきました。
さらに1ヶ月休職されたあと、診察しましたが、まだ、抑うつ状態は残っていました。
自分とじっくり向き合って、Kさんもやっと承諾してくれたので、別の病院の精神科の専門医に紹介しました。
すると
うつ状態、ではなく、うつ病であり、抗うつ薬が開始になりました。
2ヶ月の通院ののち、先週私の外来にこられたKさんは、すっかり元気になっていました。
そして
”あの時、先生や、職場の上司に、無理やり休まされて、よかったです。もし、自分で、もう駄目だ、休もうって思っていたら、私の性格上、ダメな自分!!と、自分を責めてしまったからです”と言われました
そういうこともあるんだ・・・と思いました。
夫のときもそうでしたが、うつ病のときは、重大な決断はできません。
考えがまとまらず、堂々巡りになり、ひどくなると、”もう生きていくの無理”と選択肢が極端に少なくなくなってしまうのです。
こういうとき、主治医は、本人が嫌がろうと、まだがんばれると言おうと、医学的に必要と判断したら、休んでもらうという決断をくださないといけないな、と思いました。
夫のうつ病のときも、私は、もう彼はやばいと判断し、精神科を勝手に予約し、夫を連れていき、休職の診断書をもらいました。
結果、今、夫は自分とちゃんと向き合い、親からの洗脳がとけ、自分らしく生きています。
医師の仕事は、本当に重いです。
医師の言葉も、その判断も、本当に重いと思います。
ときにその重圧に負けそうになりますが、逃げずに徹底的に相手と向き合っていきたいと思います。