いつもお読みいただきありがとうございます😊

 



Mさんが、種から育ててくれたビオラ

昨年うちの花壇に一緒に植えました

すごく素敵な色が咲きました🩷



たぶん、シエルブリエ

水色から白色で珍しいお色


月曜日は、ドックのお仕事でした。

 

その時に、血圧について、ある男性受診者さんから相談をされました。

 

”血圧の薬を飲んでいるんですが、家で血圧測ると、高いんですが、病院や今日みたいに、ドックで測定すると、低くでるんです。なんでなんでしょうか?”と。

 

血圧が高い、という相談は多いのですが、病院では血圧が低い、しかも自宅では高いというのは珍しいご相談です。

 

受診者さんは、”血圧計が古いから壊れちゃったんですかね?”と言われました。

 

こういうとき、私は杉下右京さん(大好きな相棒というドラマの刑事さんです。特命係に入りたいです😂)になったつもりで、あれこれ詳しく状況を聞きます。

 



私(以下D):血圧計は、どんなものを使用されてますか?

 

受診者さん(以下P):オムロンの、腕に巻くタイプです

 

D:測定は、どんなタイミングでされてますか?

 

P:朝起きて、トイレをすませ、ベッドではかります

 

D:完璧なタイミングですね。その時、血圧はいくつくらいですか?

 

P:上が140で下が100前後のことが多いです

 

D:今日の受診時の血圧が、120/83ですから、家のほうが高いですね

 

P:そうなんです・・・なんでなんでしょう?

 

D:・・・・どんな体勢で測定されているか、やってみていただけますか?

 

P:こんな感じで、こうやって測定しています

 

D:・・・それです!!!それが原因です!

 

受診者さんは、血圧を測るとき、腕が心臓の位置よりずいぶんと下になっていました。

 

カフを巻いて、上腕動脈の位置にちゃんとあわせても、心臓の位置(乳首の位置くらいがよいとされます)よりも腕が下がっていると、血圧は高くでます

 

”そうなんですか!!知らなかった、いつも、腕、おろしてました。これから、高さを調整して測定してみます。ありがとうございます。すっきりしました” と言われる受診者さん。

 

事件は無事解決・・風に私も嬉しくなったのでした😊

 

どんなささいな言葉も、異変も、違和感も見逃さない、右京さんのように、私も診察中は、自分の全感覚を使って相手と向きあいます。

 

すると、ちゃんと分かることが多いです。

 

”本当は、頭痛が悩みなんじゃなくて、シングルマザーで、1人で障害のあるお子さんを育てながらお仕事されていることが、辛い、助けてほしい、と体も悲鳴をあげてるんだ。それを聞いてほしかった、吐き出したかったんだ” とか。

 

”私、どうしたらいいですか!??と聞かれるとき。


本当はもう自分の中で答えがでているけれど、誰かに、”それでいいんですよ、大丈夫”って言って背中をおしてほしいんだな、とか。

 

”大丈夫です。まだ頑張れます”という人ほど、本当はもうとっくに、無理な状態になっていること。

 

医師という仕事は、患者さんや、受診者さんが誰にも話していない心の悩みや、体の悩みを打ち明けられる仕事です。

 

それは、ときに重く、苦しい話です。

 

今回の血圧測定問題のように簡単に解決できないことも多いです。

 

でも、それでも、聴く。徹底的に聴く。

 

聴いているうちに、相手が答えを見つけ、自分を見つけることができるのです。

 

”へ〜そう、生活、大変だね” とか ”ふ〜ん、家では血圧高い?血圧計壊れてんじゃない?”という医師もいますが、そういうの、医師の仕事って言わないんじゃない?と思います。

 

聴くこと、考えることをやめたら、それは、作業になってしまいます。

 

人間相手に、作業するだけなら、AIのほうがはるかに優れています。

 

膨大な疾患の中から問診と検査データだけで、AIは希少難病も見つけるほどになっているそうです。

 

AIではなく、生身の医師ができること。

 

それは、寄り添うこと、聴くこと、触れること。

 

私はそう思います。

 

そして、受診者さんや、患者さんの悩みを本当に理解して少しでも解決できたとき、心の底から嬉しい、よかった!と思います。

 

私が医師を続けられているのは、そういう瞬間があるからだと思います。