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昨日の続きです。
外来が終わったあとも、娘さんのお母さんへの暴言にかなりイライラしていた私。
そして、まだ2回しか会っていないのに、ぎゃんぎゃん外来で文句を言われたことにも、納得がいかなかった私。
・・・次回の外来で、がつんと言わないかんな!!と鼻息荒くしていました。
”あなたたち娘さんがしていることは、お母さんに早くしろ、綺麗でいろ、年をとるな!とお母さんを支配しているんですよ。それは心配ではなく、娘さんたちの自己満足です。一番辛いのはお母さんなのに、遅いとか、みてられないとかどういうことですか”
と言おうと思ってました。
でも
夫との、長時間の会話を思い出しました。
「この世には完全な悪も、完全な善もない」
「ひどいことを言っている相手側の立場になって考えてみる」
ということを考えました。
すると
”娘さんたち、とにかく不安なんだな。不安な気持ちが焦りになり、母親への怒りになり、医師への八つ当たりになっているんだな”と思いました。
半年間も、内科、整形外科に受診しても診断がつかず、お母さんはどんどん悪くなって、やっと脳神経内科を受診できたのに、薬の効果がでてない。副作用も心配、なんだなと。
薬の効果がでないことは説明すみでした。
なぜなら、副作用軽減のため、私はパーキンソン病治療薬は、ごく少量から開始するからです。
実際、2種類の薬を使ったところ、ドパミンアゴニストの副作用と思われる突発性睡眠が出現していました。
そこで、娘さんの不安を少しでも軽くするにはどうしたらいいか?
真剣に考えました。
そして次の外来の日がきました。
まずは
娘さんたち、不安なんですね、辛かったんですねと、共感しつつも、でも、一番辛いのはお母さんですよ、と伝えました。
そして、首下がり症候群の診断、治療について、資料を印刷してお渡ししました。
さらに、内科でとられていたCTで指摘されていたのに、放置されていた、肺MAC症の疑いについても、呼吸器内科を受診できるように手配しました。
最後に、娘さんたちが、介護や福祉について、いつでも相談できるように、医療相談窓口に案内し、介護保険の仕組みから説明してもらいました。
感情的になって、泣きわめき、母親を罵倒していた、娘さんは、別人のように落ち着かれていきました。
そして、”感情的になって、先生を責めるようなこといってごめんなさい。母にもひどいことをいいました。ありがとうございました”と娘さんは言って帰っていかれました。
ああ、よかった、と心から思いました。
これが、本当の意味で、相手に寄り添う一歩だ、と思いました。
今まで、私は、攻撃的な患者さんのご家族には、こちらも態度を硬化させることがありました。
言っていることもむちゃくちゃだし、こちらは一生懸命治療をしているのに、なんで私が責められないといけないんだよ、と思っていました。
病気になったのは、患者さんのせいでも、医者のせいでもないでしょうが、と。
でも、家族、患者さんの言葉の根底には、不安と恐怖がある。
そこに気がつけたことで、1組の医師患者関係を崩すことなく、最善の対処ができました。
これも夫から教えてもらったおかげです。
学んだことは、実生活で生かしていかないと意味がないと私は思っています。
いくら頭でわかっていても、本を読んでも、専門的に学んでも、仕事や家庭生活で生かさなければ、机上の空論だと思います。
これからも、トライアンドエラーと思いますが、怖がらず、人を信じていこうと思います。