いつもお読みいただきありがとうございます😊
今日は、以前にも記事にしたことがあるのですが、認知症と間違われやすい、てんかんについて書こうと思います。
というのも、一般の医師(脳外科、認知症専門医以外)は、てんかんと、認知症の鑑別ができていないケースが多いです。
家族のお話を数分聞いただけで、十分な検査診察をせず、
”うん、それは認知症だね!”と自信満々に言っているケースがあるからです。
てんかんは一般的に、若い世代に多いイメージだと思いますが、実は、脳が老化してくる60代以降になるとまた増加するのです。
その原因は、
脳卒中、脳炎など原因があるケースが3分の2、原因が不明なものが3分の1です。
その原因が不明なものの中で、多いのが、側頭葉てんかん、です。
このてんかんは、一般的なてんかんのイメージとは異なり、痙攣して倒れてガクガクする、といったことはありません。
側頭葉てんかんの症状は
てんかんinfoより抜粋
-
自動症:口をモグモグする、身振りをする 等
-
自律神経性症状:腹痛などのお腹の症状が前ぶれとして起こる、嘔気・嘔吐、発汗、立毛、熱感、冷感、腹鳴、心悸亢進、胸部圧迫感、頭重感 等
-
精神症状:未体験なのに過去に体験したような感覚(デジャヴ、既視感)、いつも体験していることが未体験のように感じる(ジャメヴ、未視感)、昔の記憶が次々と頭に浮かぶ(フラッシュバック)、恐怖感 等
-
認知障害:記憶障害、言語障害
- 動作の停止
- 発作後にもうろうとして歩き回る
というように、特徴があります。
先日、脳梗塞後の認知症で通院されている患者さんが、息子さんと来院されました。
いつもは、”変わりなく元気ですごしています。食欲もあります!”とおっしゃるのですが、その日は、明らかに様子がおかしかったのです。
息子さんからよく話をきくと、
”最近、目がおかしいです。なんか、じっと動作がとまって、おかしな様子です。おちつきがなくなって、うろうろします。記憶が悪いのは以前からですが、最近は言葉がでないみたいなんです”と。
すぐに、”あ、側頭葉てんかんを発症されている”と思いました。
普段なら、脳波、MRIを行うのですが、息子さんは運送業をされていて、お母さんを検査にまた連れてくるのが難しいと言われました。
そこで、側頭葉てんかんに一般的に処方する薬を処方し1ヶ月後にまた来院いただきました。
すると
満面の笑みで、息子さんと、御本人が診察室に入ってこられ、”先生、すごいです!まったく普通になりました!”と言われました。
本当によかったです。
ちゃんとご家族から話を聞く、本人を診察する。
そして、知識をたくさん持っておくこと。
医師として当たり前ですが、1人1人、丁寧に、気を緩めず心がけないといけません。
ご家族様で、もし、安易に、”認知症だね”と言われていてお薬を飲まれていても、”なんだかおかしいな?違うのでは?”と思われたら、専門医受診をおすすめします。