いつもお読みいただきありがとうございます😊

 


夫と一緒に作った夕食

この日は夫はお粥と味噌汁

私は野菜のオーブン焼き


私の外来は6割〜7割は神経変性疾患の患者さんが通院されています。

 

内訳はパーキンソン病が8割、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症の方が2割といった感じです。

 

あるParkinson病(以下PD)の患者さんをご紹介させていただきます。

 

その方はもとは会社経営者で、現在は引退はされていますが、社員から頼られていて、オンランで会議に参加されるなど、顧問のようなお仕事をされています。

 

Yさんは67歳男性です。2年前から右上肢の振戦に気が付き、腕が振りにくくなり、当院に紹介来院されました。

 

診察時、歩行がやや前傾で、右上肢は安静時の振戦があり固縮もありました。同意いただいたので、すぐに精査を行いました。

 

結果、MIBG心筋シンチもDATスキャンも、脳血流検査も、PDであることを示唆していました。

 

PDの治療について、一通りご説明し、治療開始となりました。

 

その時、Yさんが、”先生は、薬の治療効果は、どのように判断されますか?”と聞かれました。

 

めずらしいご質問だなあと思い、また、とても科学的かつ、具体的に考えられる方なんだと思いました。

 

きっと、企業では、”なぜその行為をするのか、どういう効果がでるのか、期間はどれくらいなのか”と、思考と判断の連続だったのだろうと思いました。

 

そこで、私は、”治療効果は自宅での生活状況と、病院での診察の両方です。指のタップ、腕の動き、固さ、振戦の程度、歩行障害、姿勢のチェックが主な項目です”と伝えました。

 

Yさんは、ボイスメモをとって帰られました。

 

次の受診の際に、”先生、このように自宅では過ごしています”と、なんと動画を撮影してくださっていました!

 

朝の散歩のときの、腕の振り具合、歩幅、方向転換の様子など、私が知りたかった項目すべてが動画に盛り込まれていました。

 

とても感動でした😊

 

私が、効率的、かつ少しでも正確に、治療効果が判定できるように、考えてくださったのでした。

 

毎回その動画をみせてくださるので、ちょっとした変化も前回の動画を一緒にみて、話し合えます。

 

またYさんの素晴らしいところは、同じ質問はされないことです。”忘れるといけないから”と、スマホのメモに記録されているのだそうです。

 

自分の治療を適切に医師に判断してもらうこと、また、診察時間を有効に使うことを常とされています。

 

きっと、引退されるまでこのように合理的に会社経営をされてきたのだろうな、とそれまでのお仕事ぶりが、目に見えるようでした。

 

新しいお薬を追加するときも、私は必ず、図に書いて説明するのですが、Yさんから”図解していただき、薬が効くしくみを聞くと、非常にわかりやすいし納得できます”と言われます。

 

大学病院時代からの私のPD外来のスタンスは、患者さんにも、薬の効果効能、副作用をきちんと理解していただいて、話し合って治療を決める、というものです。

 

Yさんの受診からは、”自分も、医師の時間も無駄にしない”という姿勢を感じます。

 

いつも背筋がのびる思いです。