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先日もERから受診された患者さんが、ふらつく、ということでしたが、原因が急性腎不全だったことを書かせていただきました。

 



ふらつきの原因には実に様々な病気があります。

 

1:脳梗塞、脳出血 

この場合、寝ていても起きていてもふらつきます。小脳、脳幹というところに病気がおこると、ふらついて起き上がれません。

治療しない限りよくなることはありません

 

2:脱水

脱水になると脳へ運ばれる血液の量が低下するので、ふらつきます

 

3:貧血

貧血には鉄欠乏性貧血以外にもビタミンB12欠乏によるもの、葉酸不足など、要因が様々です。貧血の原因自体も多く、精査が必要です

 

4:腎不全

腎機能が低下すると、尿毒症という状態となり、体から不要なものを排泄できなくなりふらつきます。

 

5:肝不全

NH3(アンモニア)が急激に上昇するとふらつき、意識障害がおきます。

 

6:良性発作性頭位変換性眩暈(BPPV)

頸椎の変形(ストレートネック)があり、歯科の椅子、美容院などの頭の位置の変化でふらっとして一瞬回転する眩暈がおきることがあります。

また耳が原因のこともあります

 

7:薬剤性

薬の副作用で、ふらつきが起きることがあります。降圧薬、抗アレルギー薬、睡眠薬、筋弛緩薬など複数の薬剤が要因になります。

 

8:睡眠障害

睡眠がきちんととれていないと、起立調節障害がおきることがあります

 

9:末梢神経障害

糖尿病や、アルコール多飲による手足の先の神経障害で、ふらつきがおきることがあります。後索という脊髄の後ろの部分の障害でおきることもあります。

 

10:サルコペニア

筋力低下が体幹にある場合にも、歩行時のふらつきがおきることがあります

 

このように、実にたくさんの原因が、”ふらつく”という症状に隠れています。

 

”こんなにたくさんあるの??”と思われるかもしれないですが、実は、ちゃんと問診して薬を確認し、丁寧に診察して、血液検査をするだけで、だいたい分かるものです。

 

ただ、先日のERのDrのように、鑑別診断が上記のようにすぐに頭に浮かばないと、短絡的で、自分がわかる唯一の診断名にいきつくため危険なのです。

 

鑑別診断がどれだけ挙げられるかということは、医師の経験値そのものといっていいと思います。

 

基本に忠実に診療し、紹介した場合は、自分の診断が間違っていなかったか、ちゃんとチェックすること。

 

このような1つ1つの積み重ねをして、少しでも自分がミスをしないように、力をつけていきたいとこれからも思います。