ある仕事の案件で、今回新しくチームを組むことになった。

友人ではあるが、仕事を一緒にするのは初めてだ。

良き友人が良き仕事仲間となるとは限らない。

もともと友人として知っているわけだから、あまり驚いてはいないが、ある部分予想以上の混乱ぶりとなっている。
チームを組んでもどちらの意見がどのくらいの割合で採用されるべきかを考えると、私たちのほうがどう考えても主体だ。割合として、私たちが8、彼女が2かそれ以下。ロジカルに考えてそうなるのだが、どうも彼女はロジカルに考える人ではないので「自分の意見はそう通らない」と言うのが分かっておらず、自分主体でやろうという気が満々である。
だが私達がまるで彼女の意見を聞かないのなら、チームを組む必要がないので、彼女の意見も取り入れてもう一度案を考え直し、OKを出した。
「では早速プロジェクトを進めましょう」
と、話がまとまったと思ったら、数週間後、突然「亡き父が夢に出てきて私にメッセージを伝えてきた」と、その決定を全部ひっくり返して、私たちの意見も彼女の最初の意見も一切消滅した、全く違う話を出してきた。

亡き父のメッセージ、と言うのは失礼ながらとても卑怯なやり方だ、と言うのが私の意見だ。

もちろん亡き父上を侮辱するつもりでは全くない。

まず、そのメッセージが本当に亡き父上の物か、確認するすべがない。

そして、そのメッセージを送ったという亡き父上に私たちが意見する方法がない。亡き父上とは話し合いができないのである。

 

それが彼女の思い込みから来る、彼女の頭の中から出てきた普通の夢、あるいは単なる妄想、あるいは嘘だとしたら、と仮定してみると、なぜ彼女が全部を覆したのか理解できる。

 

最初に彼女が提案を出したとき、提案を出した部分は彼女が用意する、と言ったのだが、それができない、と判断したのだろう。

私は彼女が「私がやるわ。まかせて」と言った時に、申し訳ないが彼女には無理だと判断したので、こちらですでぐ準備を始めた。もし彼女が用意したら差し替えればいいだけの話だから。

だがプライドの高い彼女が「ごめんなさい、できなかった」とは言えない。でも責任は感じている。その無意識が見せた夢だろう。


今は執拗に亡き父上のメッセージにこだわっている。それが素晴らしいものならまた別だが、どう考えてもゴミ箱行きのアイディアなのである。なおかつ、その新しい案に関しての準備を私にやってほしい、と言う。やるかいな。

夢から出てきたアイディアを現実にするのは、結構難しい。夢は所詮夢。大体ろくでもない物ばかりだ。

さて、どう彼女に話をするべきか。