羅臼近海で、シャチの親子が流氷に閉じ込められたことは、きっと世界中で報道されているのだと思う。
その姿が痛々しく、母親の愛情が健気で、感情を動かされる映像だったから、ここぞとばかりにマスコミは飛びついたに違いない。

イタリアでもこのニュースは取り上げられていたが、その取り上げ方が何とも腹立たしい内容であった。

「皆さん、見てくださいこのシャチの親子を!氷の中に閉じ込められています!!」

と、シャチの映像を一瞬見せた後、ダラダラと環境がいかに破壊され、気温が上昇し、動物たちが苦しめられいるか、というえらく感情に訴え不安を掻き立てる内容と続き、結局羅臼の流氷についての説明は一切なかったし、その後このシャチの親子がどうなったかも報じない。このニュースだけだと、まるで地球温暖化がシャチの親子を苦しめて死んでしまった、という内容なのである。

そう言う話なの?と日本のニュースをググってみたら、まれではあるが流氷にシャチが閉じ込められてしまうことは以前もあったこと、そして次の日には流氷は移動して親子は恐らく脱出できたと思われる、と言う話で終わっている。

色々な動画を見ると色々な人が色々な話を上げているので、本当に脱出できたかどうかは分からないが、流氷は減っているのであって、増えてはいないらしいし、それは確かに温暖化のせいだろうから、もし温暖化を取り上げるならもうちょっと理性的な取り上げ方をしてほしいのに、ニュースが理性ではなく感情的なのは非常に腹が立つ。

だから、X(旧ツイッター)で書き込んでやろうか、と思ったが、イタリア人は特に感情に訴えるものが好きなので、勝手に感情を掻きまわして不安になっておれ、と捨てておくことにした。
私がこんなアホが取り上げたアホなニュースに感情をかき回されることはないのだから。

まだまだ私は修行が足りない。