キッチンの排水溝を歯ブラシで
掃除していたときのことです。
うっかり手を滑らせて、歯ブラシを
排水口に落としてしまいました。
「トン」
という音。
「え……」
頭が真っ白になりました![]()
シンク下に伸びている排水管をのぞいてみると、
なんと歯ブラシが見える。
「見えてる!これなら取れるかも!」
そう思って、まず菜箸で挑戦。
……届かない。
ガムテープをつけてみる。
……取れない。
靴べらは太くて入らない。
![]()
ネットで調べると、排水管の奥に入ったものを
取るためのワイヤータイプの道具もあるらしい。
でも、歯ブラシを取るためだけに、
また道具を買うのもなあ……。
しかも、その頃の私は数日後に遠方の実家へ行く
予定があり、ほかにもやることがいっぱい。
「早く何とかしなきゃ」
と、焦っていました。
そこでマンションの管理会社に連絡。
すると、
「過失なので費用がかかります」
と言われました。
その言い方やめて
いくらくらいかかるのか聞いても、
「見てみないと分からない」とのこと。
結局、業者さんに来てもらうことになりました。
そして業者さんから電話が。
「8,800円です」
……。
8,800円。
歯ブラシ一本のために。
しかも、私は夜にバイトしてるのですが、
その3日分くらいの収入です。
「きゃーーーーー!」
となりました![]()
翌日の午前に来てもらうことになり、
私はいったん諦めました。
その日はたまたま夜バイトの日で、
リーダーの女性に話しました。
すると、
「もったいないですよ。もう1回試してみたらどうですか?
もしくは放置したらいいじゃないですか」
と言いながら
色々調べてくれ、
あのマジックハンドみたいな道具を
「Amazonプライムで注文したら明日届きますよ!
私今注文して明日持ってきますよ!」
とまで言ってくれます。
「もしかしたら布ガムテープで取れるかもしれない」と
これも調べてすぐに見つけてくれました。
そんなに強く言ってくれるの?…と
希望が出てきました。
もしかしたら取れるかもしれない!と思うのと同時に
自分はなぜこんなに解決力がないのか、
1人では本当に何もできない…
なぜすぐに諦めてしまったのかと
自分のダメさを責めました。
昼に偶然Zoomで話した人に
「自分を責めないでね」と言われていたのに。
リーダーに希望を見せてもらい、
もう一度試してみようと
取れそうかもと思えた布ガムテープを
買って帰ったのです。
そしてなぜか、菜箸に割り箸を2本繋げることを思いつき、
長い強力な即席マジックハンド棒を作りました。
布ガムテープの粘着面を表にして付け、
排水溝に入れる…。
数回、奥でぐるぐるやってみると
ほんの数分でついに歯ブラシが取れたのです!!!![]()
そのときの感動は忘れません。
次の日朝一に業者さんに連絡し、
8,800円免れたんです。
こんな奇跡が起きたのに、
私は自分が嫌になっていました。
1人では何も解決できない…
最初はそう思いましたが、
深掘りしていくうちに、
私は私で、焦っていて早く解決したい中、
「精一杯やったよ」
そう思えたんです。
それに、
助けてもらえる人がいる。
そんな人に出会えてる。
自分1人で解決なんてできなくていい。
苦手なことがあっていいし、できなくていい。
そのために人がいる。
色んな特性を持った人がいる。
だから協力し合えばいい。
助けてもらえばいい。
いつか自分が何かできるとき、
その人にではなくても、すればいい。
こんな風に思えたとき、感謝が溢れました。
自分を責める癖がある人は、
何かあったときどうしても
自分が悪かったんじゃないかと、
自分の否を探します。
表では人に感謝する。
だけどその分、自分を下に下げてしまう
ことがあります。無意識に。
何も悪くないのに、
いいところ(全体で起きたこと)ではなく、
小さな自分に小さく焦点を当て、
視野を狭くしてしまう。
一歩引いて見たら、
全体的に光っているのに(明るいのに)
自分だけに焦点をあてるから、
良くなったり、楽になった部分を
見られていないだけなんですよね。
今回のことでも、歯ブラシだけを見ていたら、
「落とした私が悪い」
そう思って終わっていたかもしれません。
でも、一歩引いて見てみたら
リーダーがいて、
Zoomで声をかけてくれた人がいて、
管理会社がいて、 業者さんもいて、
そして最後には、自分自身も工夫していました。
あれ?![]()
私、何もできない人じゃなかった。
一人で全部解決したわけじゃない。
でも、人に助けてもらいながら、
一緒に解決できた。
そのことが、とても嬉しかったんです。
こうして、助けてくれた人への
感謝は大きくなり、
自分のこともまた少し、愛おしくなる。
人は、一人で強くならなくていい。
私の周りには、助けてくれる人がいる。
そして私は、その人たちと一緒に
問題を解決できる人なんだ。と。
私にとって、この歯ブラシ事件は、
「歯ブラシを取り戻した日」ではなく、
「自分を責める見方を少し手放せた日」 になりました。
安心できる人が一人いるだけで、
自分を見る目は少しずつ変わっていくんですね。

