昔、すごく昔
世間からしたらゴミのような俺のCDに、そういってくれた人がいた

それよりもっともっと昔に
中学校の先生も、顔を腫らした俺と、腫らさせた奴にそういってくれた

「もし先生とかが見てる前で、一対一でやってみとゆうたら、コイツの方が強い思うで コイツはそういう底力な奴やねん」

底力か
なるほどね 確かに、負けへん自信はあるよ
亀みたいに、どんなに時間がかかってでも

その先生が言った台詞とか そういうのは覚えてるもんやね
中学時代なんて、殆ど記憶にないけど
担任のことなんてこれっぽっちも覚えてない そんな奴もいたな~くらい 空気

確か数学の先生だったな~ あれは響いた
正確には、30年くらい経ってから響いてきた
そういうこともあるんやね いや、そういうもんか
喜びも悲しみも 幸せも感動も 時を越える

中学出て、高校夜学だったから昼間は働くってことで、初めて、いわゆる‘社員様’になるための面接に行ったのは小さな染色工場だったな 15歳か
中学生の頃から、歳ごまかしてバイトの経験はあったが、社員になろうとしたのは初めてだった
義務教育終わったら、どこかで‘社員様’になる それが全うな人生なんだって 
なーんか夢がないなぁ~
俺の人生、こんなもんかなんて思ったっけ しかも落ちたし

人生とは、自由に勝負するもんだし 学歴なんかなくたって戦い方は100通りある でもその時は知らんかったし
どこで見つけてきたか知らんけど、中学校からそこに行けと言われ
右も左も分からん中卒の15歳は、これしか道はないと思い込み素直にトボトボ歩いて行ったわけだ
で、早速傷ついたってさ くっだらねぇ
思えば、それが‘社員様’になるために受けた、人生で最初で最後の面接となった
バイトは人殺し意外なんでもやったけどね

バイタリティのある、出来れば何かで成功した親父でもいてくれたらな
ひょっとしたら、もっと早く気づけたかもな なんて んなことどうでもいい

ちゃんとやってるんやから
一人で

底力か うん、中々いい響きだな 俺に似合ってる 
人生さらっとはいかない いや、いく人もいるか
でも、どうやら俺はそうじゃない 生まれた時から既に出遅れて
勉強も経験も出遅れて 何度も挫折を味わって そりゃ散々バカにもされたわ 
でも、実はそこまでバカじゃない ただ亀なだけで

底力ってのはそういうことかな?