ロストワックス/鋳造の準備をぼちぼちと始めてるのですが、今回こだわったのは「ローレット加工」です。
ローレット加工という言葉は、その業種に携わる方以外は殆ど聞いたことのない言葉だと思います。
私も検索してやっとこの言葉に辿り着いたくらいです。
でも、これを見たことないという方はいないんじゃないでしょうか。
工業製品などに滑り止めや飾りとして入れられる加工です。
この模様をどうしても指輪に入れたかったんです。
この加工は製品、あるいは加工途中の製品を旋盤に固定して回転させます。
そこに特殊な駒を押し付けて模様を削ります。
これはチェック模様用の駒が2つのタイプですが、1つのタイプもあります。
一つの駒には等間隔に筋を彫る(削る)為の刃がついてます。
駒を一つでやれば等間隔の筋が彫れます。
刃の角度もいろいろと種類があって、90度角度の違う2つの駒を使えばチェック模様が彫れるということになります。
ただ、加工法の特性から、円筒形の外面にぐるっと一周模様を入れることになります。
シンプルな指輪の外面全体に入れるのであれば、この加工法でもOKです。
でも、私の作りたいデザインは外周全体ではなく、チェック模様が途中で切れてるデザインなんです。
なのでローレット加工では出来ないということがわかりました。
仮に出来たとしても、駒だけで何万円もしますし、本格的な旋盤なんて個人で持てるものではありませんし。
ベーシックなローレット加工なら、やってくれる工場さんもあるみたいです。
勿論これで諦めるわけにはいきません。
子供の頃からモデルガン~エアガンという趣味があったので、すぐに思いついたのが銃器についている似た様な模様です。
調べた結果2種類の方法があり、銃器関係ではローレットではなく「チェッカリング」と呼ばれていることがわかりました。
一つは金属部分に入れる方法と、もう一つはグリップや銃床の木製部分に入れる方法で、どちらも完成品に直接彫る方法で、使う工具が違います。
指輪の出来上がりはステンレスの予定ですが、元型はワックスで作ります。
銃器の金属部分に溝を彫るのは、縦に動かすことで数本の溝が彫れる(削れる)特殊なヤスリを使います。
出来上がったものに直接彫るのは失敗のリスクが高いのと、使うヤスリが6,000円オーバーと高価なんです。
私は木に彫る方法で、ワックスに先に溝を彫っておくというやり方にすることにしました。
アメリカなどの銃器が持てる国では、ウッドカービングの一種として拳銃のグリップやライフルの銃床に彫刻をするのが一つの趣味として普及しています。
私はチェッカリング用の小さい刃を使って彫るというやり方に決めました。
1本ずつ溝を彫るという地道な方法です。
本来はグリップ付で販売されているのですが、そこそこ値段もしますので、替刃だけを試しに買ってみました。
現物を確認して、何とかいけそうだったので、グリップを購入しようかとも思ったのですが、プラ板で自作しました。
まずは試しと練習用にチューブワックスを適当な大きさにカット。
チューブワックスのカットも慣れていないので、真っすぐカット出来ませんでした。
多分こうだろうというやり方で早速彫ってみました。
初めてなので溝は深さも平行もガタガタでしたが、練習すれば何とかなりそうです。