ミシンで何かを縫うには、まず型紙を作らないといけません。
出来上がった型紙でサンプル縫製や仮縫いをして、それをチェックして型紙を修正する。
このサイクルを何回か繰り返して、やっと本番用の型紙が出来るわけです。
これが時間のかかる地味な作業なんです。
型紙を製図するには、畳一畳分くらいのスペースが必要です。
なので、通常は部屋を片付けてスペースを作らないと作業が出来ません。
模造紙に製図した型紙に縫い代をつけて、カッターでカット。
その型紙から生地を裁断するという行程です。
やり出すと楽しいのですが、場所を作ったり、紙をカットしたり布を裁断したりというのは結構手間と時間がかかります。
今はかばのぬいぐるみを作ってるのですが、粘土から取ったアルミホイルの元型をスキャンして、それをプリントアウトしたものを参考に型紙を作るつもりでした。
スキャン後、そのままプリントアウトしたものではわかりにくいので、Illustrator(adobe)でトレースして形を整えたんです。
その作業をしながら、「このまま型紙作れるよな」と思い、結局パソコン上で作ってしまいました。
これが予想外にもの凄く短時間で出来たんです。
更に、縫い代付けなど、Illustratorの機能を使えば、ワンクリック、0.5秒で出来ました。
それをプリントアウトして、カッターでカット、生地を裁断して一回目の仮縫いをしました。
模造紙で作った型紙の場合、修正型を作る為にはカットした型紙をまた模造紙に写さないといけないんです。
その複製(複写)したもを元に修正型を作ります。
それをまたカッターでカットして‥‥。
パソコンで作った型紙はデータとして保存してるので、それを元にIllustrator上で修正するだけです。
たまたまやってみたこの方法、定規とシャーペンで製図するのに比べたら、3分の1~5分の1の時間で出来てしまうんです。
これが仮縫いと修正を繰り返せば繰り返すほど、定規とシャーペンのアナログな作業に比べると短縮率は上がってきます。
気分的なストレスも考え合わせると、10分の1くらいに作業が短縮できたように感じます。
その短縮出来た手間と時間を、修正やこだわりに思う存分使えるんです。
ただ、かばのぬいぐるみは小さいのでA4用紙に収まるのですが、人間の型紙はサイズ的にこの方法をそのまま使うことは出来ません。
A3が印刷出来るプリンターがあれば、パーツごとに分ければいけるかも知れませんが。
繊維業界の現場では、アパレル用のコンピュータはあるにはあるんです。
専用のハードと専用のアプリケーション、プリンタも実寸で印刷できる特殊なもので、私が働いてた当時で数百万~数千万という値段でした。
今はもっと安くはなってるでしょうが、個人が買える値段ではないでしょう。
当時もそのシステムを持ってるのは、私の知ってる中では1社だけでした。
偶然にもこの方法を発見してしまった、その効率の良さと修正の自由度は、今迄のやり方には戻れない感じです。
今考えてるのは、サンプルや仮縫い、修正の段階迄は2分の1~3分の1のスケールで作業をして、最終の本番用の段階で実寸で作ろうかなと思ってます。
これならA4でプリントアウトできるし、仮縫いに使う生地も少なくて済みます。
これは結構画期的な方法だと思いますよ。