まどぎわロードショー -5ページ目

まどぎわロードショー

寝て、起きて、聞いて、観る


日本語に「昨日の敵は今日の味方」という言葉がある。過去に激しく憎み合い、争いあった相手でも、その分互いを認め尊敬しあい、強い友情を築くことができる、というような意味だ。


日本人の多くにとって、現在の同盟国アメリカと激しく憎み合い、争いあった事実は遠い過去の話に感じられるかもしれない。


しかし71年前のあの晴れた夏の日、たしかにそこに人間がいた。一瞬にして、すべてが変わってしまったあの日、あの場所にいた人たちが生きていたのは遠い過去ではない。彼らはわれわれと同じように「今」を生きていた。


現在83歳となる笹森恵子さんは爆風によって顔には火傷による重度の後遺症が残った。あの日から約70年もの間、彼女は赤く燃える街と人々の泣き叫ぶ声に苦しみ生きてきた。彼女にとって71年は遠い過去だろうか?


それでも笹本さんは未来へと目を向ける。世界から戦争は消えない。国と国同士の和解ですらこれほどの時間がかかる。かつての敵が手を取り合い、核のない未来を実現させることなどできるのか。一人の力ではかなわない。しかしすべての人が望めばそれは必ず実現できるのだと。


ある人たちはこういう。「オバマ大統領は謝罪をすべきではないか。」と。


しかしそんなとき私は笹森さんが言ったこの言葉が頭に浮かぶ。
「謝れというよりもっと大事なことがある。」


痛ましい過去を忘れては歩き出す意味がない。しかし互いの過ちを赦し、真の尊敬を通い合わせてこそ過去は私たちの背中を押してくれるのである。
そう心に刻み、われわれは「昨日の敵」とともに未来を歩いていきたい。