FIRE そんなに甘くない?

資産6000万円でFIREした息子

大橋さんには40歳になる息子の拓人さん(仮名)がいて、独身で地方のIT企業に勤めていましたが、5年前に「FIREを達成した」として会社を辞め、フリーランスとして生活していました。

拓人さんは、新卒で地元のシステム会社に就職し、年収は600万円前後でしたが、これといった趣味もなく、物欲もなく、さほど生活費も必要なかったため、20代からコツコツと全世界株式型の投資信託で積立投資を続け、特に30歳を過ぎてからはNISAなども活用し40歳の時点で資産は6000万円に達していたのでした。

「これだけあれば十分だろう……。フリーランスで仕事していけば十分生活できるだろう」

そう考えた拓人さんは、会社を辞めたのでした。自宅でホームページ制作などの仕事をフリーランスとして受けながら、気ままな生活を送るはずでした。しかし、そんな拓人さんがある日実家に帰ってくることになりました。

FIRE後の「想定外」と親へのSOS

会社を辞めてからしばらくは順調でした。フリーランス向けの仕事マッチングアプリで、1件数万円の案件を月に数件受けることで、最低限の生活費はまかなえると思っていたそうです。

しかし、実際に蓋を開けてみると、仕事は単価の低いものが多く、安定性もない。フリーランスの年収は200万円にも届かず、毎月の家賃と生活費で手一杯。資産6000万円を取り崩して生活する計画もありましたが、「資産が減るのが怖くて使えない」という状態になっていました。

「お金がないとは言わない。でも、家にいさせてほしい」

こうして、FIREしたはずの息子が、“子供部屋おじさん”として帰ってきました。