「2004年に株式投資を始めて以降、08年のリーマン・ショックをはじめ、複数の相場の暴落や大きな調整を経験し、そのたびに大きな含み損を抱えてきた」

こう打ち明けるのは、専業投資家のすぽさん(ハンドルネーム)だ。11年にPER(株価収益率)が10倍前後の銘柄を買う割安株投資から年率20%以上で業績を拡大する高成長銘柄の売買に転換。運用資産を5年余りで10倍に増やした。

 

急落を察知する方法を探す

 

このスゴ腕投資家の脳裏に深く刻まれているのが、18年10〜12月の相場だ。この3カ月の間に日本のみならず世界的に相場全体の急落が断続的に発生。同年の日経平均株価の年間騰落率は、12年12月にアベノミクス相場が始まってから初めてのマイナスになった。

「あの3カ月の急落は、何の前触れもなく突然始まった。しかも成長株の下げがきつく、大きなダメージを負った。その後、突発する相場急落でもその兆しを捉えて直撃を回避する方法をずっと探し求めてきた」と話す。

 

門経済物理学』(PHP研究所)だ。ソネット教授はこの著書の中で、相場全体や個別株にバブルが生じてはじける時のチャートには特有の形状が現れると指摘。それを捉えれば、バブルの崩壊による急落を事前に察知できると主張していた。

 

上の図は、特有の形状を図解したものだ。通常は価格を上に引っ張る力と下に引っ張る力がせめぎ合い、どちらに振れるかは予測できない。しかし、バブルが発生すると、上に引っ張る力がどんどん強くなって、上昇の角度が急になっていく。さらに価格の振れ幅が小さくなっていく。そして臨界点に達するとバブルがはじける。

 

 

すぽさんはコロナショックが起きた20年3月の前にこの学説を応用して、割高感の漂っていた米国株の指数の動きをチェックしていた。同年1月27日に米ダウ工業株30種平均などの指数が突然急落したのを見て、「バブル崩壊が始まった」と判定。グロース(成長)株を中心に保有株を売却した。

 

今年3月にも調整を察知