自覚症状ゼロからのステージ4宣告

 
何げなく首筋を触っていたら、のどの左側の下あたりに小指大のしこりを見つけたんです。
何だろうと思って、翌日近くの総合病院に行ったら『風邪でしょう』と。でも、風邪の症状はまったくない。
 
 紹介された病院で悪性の腫瘍と判明。ただ、治療環境が整っていないからとまた別の病院を紹介される。
その後、再びCTやMRI、PETなど精密検査を重ね、5か所目となる大病院でステージ4の中咽頭がんだと宣告された。
 
中咽頭癌か!
 
甲状腺がんではなかったのね
 
ステージ4はやばい
 
 そこで、余命を質問したら、『それは聞かないほうがいいですよ』って少し笑って言われたので、治療を受けても、ここでもう終わりなのかもしれないなって思いました
 

「妻の機転で命拾いしました」

 実感がないものの、医師の言葉を受け止めるしかなかった。命をあきらめかけていた村野さんだったが、それを救ったのが妻だった。

「インターネットで〈中咽頭がん/ステージ4/末期がんからの生還〉〈中咽頭がん/名医〉〈末期がん/名病院〉などのワードを入れて検索したら、『陽子線治療』というのがある、同じ中咽頭がんの末期でも助かっている人がたくさんいるから、その治療ができる病院に行ってみようと妻に言われたんです」
 

 ひと通りの治療を終え、8月17日に退院。ステージ4の末期がんからたった2か月で寛解したのだ。

 

「退院するころには首筋にあったしこりは触ってもほとんどわからないくらいになっていました。がんがなくなった。驚きましたね」

 

高額な先進医療費もすべて保険でカバー

 
 ところで、がん治療で気になるのは医療費がどのくらいかかるかだ。

 村野さんが受けた陽子線治療は、従来の放射線治療(光子線であるエックス線を用いる)とは異なる陽子線を使用する高度な医療技術のため先進医療にあたる。

 よって保険診療にはならずに全額自己負担だったが、民間の医療保険でカバーできたのだそう(抗がん剤治療は保険診療)。