突然死のリスクが高い睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸停止を繰り返すことで、心身のさまざまな病気や、強い眠気など日常生活での問題を引き起こす病気です(註1)。

身体に与える深刻なダメージ

それでもCPAP治療を続けなければとわたしが思うのは、眠気対策だけではありません。これから話すような、睡眠時無呼吸症候群が脳や体に与える深刻なダメージを、できるだけ少なくしたいからにほかなりません。

うつ病、認知症のリスクを上げる

生活習慣病のリスクは間違いなく上がりますが、うつ病のリスクも高くなります。2019年の論文では、睡眠時無呼吸症候群のうち、うつ病の有病率は男性で2・7倍、女性で4・0倍、無呼吸のない人に比べて高いという結果でした(12)。

肥満以外に罹患しやすいタイプ

ラグビーやアメリカンフットボールなど首周りの筋肉が発達するスポーツ選手にも、睡眠時無呼吸症候群は多く見られます(15)。

肥満でなくても、扁桃腺の肥大や大きな舌、鼻炎・鼻中隔弯曲かくわんきょくといった鼻の病気も原因となります。子どもや女性に多いのですが、あごが後退していたり、あごが小さいことも睡眠時無呼吸症候群の原因となり、肥満でなくやせていても、睡眠時無呼吸症候群になります。

交感神経系が働きっぱなしになる

 
【図表】睡眠中の交感神経活動と血圧
 
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、脳も体も酸欠状態になり、細胞のミトコンドリア、大脳皮質の白質が壊れていきます。睡眠中にお休みすべき交感神経系も、活発なままです。疑わしければ、睡眠医療の助けを求めるべきです。