世界的に進んでいたEVシフトに急失速の兆候が表れ始めるなか、EVに懐疑的な姿勢を見せていたトヨタ自動車と同社会長の豊田章男氏をめぐって「やはり正しかったのでは?」と高く評価する声も広まりつつある。

ちなみに日本の新車販売市場におけるEVの比率はわずか2~3%。テスラの23年の販売台数は約5500台にとどまっている。

EV不調の原因

 

 EV不調の原因は何か。まず挙げられるのが費用の高さだ。たとえばテスラ「モデルS」は新車時価格が約1300万円であり、少し前にはバッテリーの交換費用としてテスラが230万円を提示していることが判明し、一部で話題になった。

「原材料の採掘から製造、廃棄まで全工程を比べれば、EVのほうがエンジン車より何倍も二酸化炭素排出量やエネルギー消費量、鉱物資源の消費量は多く、『EVのほうが環境負荷が低くてクリーン』という謳い文句が嘘だということは、すでに広く知られている。

「エンジン車は必ず残る」

 

「利便性やコストの面に加え、原材料のレアアースなど鉱物資源の採掘地が一部の途上国に偏ることで過度の資源調達競争が起きる懸念も指摘されている。すでに大手メーカーのなかにも調達が難航するところも出ている。資材発掘や発電まで含めたトータルの製造コストの高さや環境負荷の高さからも、トヨタとしては『経済原理に照らし合わせて、そのような車が世界の主流にはなり得ない』という判断だったのでは。さすがというか、恐ろしいほどの先見の明だろう」