あなたの会社、社会に必要なんですか?なくなってもいいんじゃないですか?

そうして4か月ほどが過ぎたころ、私は重い腰を上げて参加した中小企業家同友会のセミナーで、 初対面の講師にかけられた言葉に、大きな憤怒とショックを受けます。

 

「ミューテックって会社、社会に必要なんですか?なくなってもいいんじゃないですか?」 と。

 

――…どうされたのでしょう?

 

谷口: それはもう、頭にきましたよ。「こんな所、二度と来るか!」と。

ただ、後になって振り返るとこの一件は、私や当社にとって幸運な出来事でした。

 

社会に必要とされる理由を作れ

谷口: 頭にきた私は、とりあえず落ち着こうと思いお手洗いに行きました。

 

そして「なぜあんなことを言うのだろう?」と考えました。さらに疑問だったのは「あの講師はボランティアなのに、なぜわざわざ人に嫌われることを言ったのだろう?」ということ。

 

そうして自問自答しているうちに「あれ?これは愛情の裏返しなのかも!」と思えてきました。ポジティブに受け止めてみたのです。

 

「ミューテックが社会に必要とされなきゃいけない。そういう会社にしなさい」とアドバイスしてくれていたのだと考えると、腹落ちしました。

 

戻ってあらためて話をしてみると、講師は同業者で当社のことをご存じでした。その上で、 「ミューテック35じゃなきゃダメな理由を作れ」 とあらためて説いてくれました。

 

自分が経営者だからこそできること

 

何でナンバーワンになるかを決める

谷口: 冒頭お話しした「ミューテック35じゃなきゃダメな理由を作れ」にもつながるのですが、 会社として「何のナンバーワンを目指すか?」を決めたことが大きかった と思います。
 

ら外部のいろいろな方とお話ししたり、お客様の声をあらためて見たりしてみると、

「社員の対応がいいですね」
「より良い提案をもらえるのがありがたい」
「仕事が早くて助かりました」

 

そういった現状をベースに、 『だったらうちは、スピードでナンバーワンになろう!』という指針を決めました。 掲げたスローガンは「最良のものを敏速に提供」です。ここを伸ばしていけば、それこそ安く買い叩かれない。社員が幸せになれる会社に近づける、と。

そのためには、仕事を円滑に進めるためにコミュニケーション、風通しの良い社風が必要でした。

 

木野親之氏に賞賛された理念経営

 

毎朝読む「指導者の条件」

――松下幸之助さんの教えから得られた、最大のものは?

谷口: やはり「人」ですね。 「ものを作る前にまず人を作る」と幸之助さんは仰っていますが、本当に共感します。