地獄から天国をつくりだすためにすべきこと

これから紹介する3つの行動習慣「感謝の気持ちを表わす」「楽観的になる」「考えすぎない、人と比較しない」はどれも、人生についての考え方を変えることを目的としています。地獄から天国をつくりだし、喜べることを探して、小さなことにくよくよするのはやめるというものです。

「感謝」は幸せになるためのメタ戦略

また、もし、そのような習慣が身につくようにトレーニングをしたとして、ほんとうにもっと幸せになれるのだろうか?

私は不確実な推測ではなく、科学によって証明された方法だけを選びました。

 

幸福度とは遺伝が50%、外的環境が10%でつくられており、残りの40%は自分の行動でつくられています。

 

ここにあげた行動をあなたの人生に当てはめ、自分で変えることができる40%として役立ててください。なぜなら、「40%」という数字は、自分自身を幸せにすることができる可能性を十分に示しているからです。

 

ここでは「感謝の気持ちを表わす」ことについて述べていきます。「感謝」は幸せになるためのある種の「メタ戦略」のようなものです。

「感謝」の定義

「感謝(gratitude)」とは、物事を大切に味わい、それを当たり前だとは思わず、現在に価値をおくものです。また、「ネガティブ感情」の解毒剤であり、ねたみや強欲、敵意、不安、いらだちを中和させるものでもあります。普通は「感謝」といえば、何かをもらったり恩恵を受けたりしたときにお礼をいうことと単純に結びつけがちです。けれども、私は読者のみなさんに、「感謝」の定義をもっと幅広く考えていただきたいと思います。

「感謝」することで得られるさまざまな恩恵

最近では、「感謝」にさまざまな恩恵があることが注目され、新しい研究が始まっています。
感謝の念を決して忘れない人はそうでない人に比べて、より幸福で、よりエネルギッシュで、
より希望に満ちていることがわかっています。そして、「ポジティブ感情」を抱きやすいことが報告されています。
さらに、あまり感謝の気持ちをもたない人よりも、人を助け、共感でき、信仰心に厚く、寛大で、
さほど物事に執着しない傾向があることも明らかになっています。感謝をよく示す人ほど、落ち込んだり、不安になったり、
孤独を感じたり、嫉妬したり、ノイローゼになったりしにくいこともわかっています。

「恵まれていると感じること」5つを書きだす

その研究では、まず参加者のうちの1つのグループには「感謝しているもの」、つまり「恵まれていると感じること」を5つ書きだしてもらいます。それから、その後10週間にわたって、週に一度同じことをしてもらうのです。

人生により満足感をもてるようになった

この研究結果は、興味深いものとなりました。感謝を表わすことを求められた参加者は対照グループと比べて、人生についてより楽観的に感じ、より満足感をもったのです。より健康にもなっていました。さらに、頭痛や吹き出物、せき、吐き気など、身体に起こるさまざまな悪い症状が減少すると同時に、運動をする時間が増えたのです。

感謝日記をつける

まず、参加者は、「感謝日記」をつけるように指示されます。「ありがたい」と思ったことを5つ書きだし、それについてじっくりと考えるというものです。具体的には、次のような指示がだされました。

「私たちの人生には、大小の差はあっても、感謝すべきものがたくさんあります。過去1週間の出来事を振り返って、あなたが感謝したり、ありがたいと思ったりしたものを5つまで、以下の線のところに書いてください」そして「今週、私が感謝しているのは……」という言葉に続いて、何も書かれていない線が5本並んでいます。

週1回のグループにしか効果は得られなかった理由

さらに、自らが受けた恵みを定期的に数えた参加者は、より幸福になったという重要な結果がでたのです。対照グループ(つまり、どんな行動もとらなかった人々)に比べて、感謝を表現したグループは、介入があったあとの幸福度がかなり高くなったことが報告されています。興味深いことに、この効果がでたのは、毎週日曜の夜に感謝すべきことを書きだした参加者だけでした。週に3回、書きだした参加者は何の効果も得られなかったのです。

 

一見すると、この発見は奇妙に見えるかもしれません。しかし、ちゃんと説明がつきます。毎週火曜と木曜と日曜に感謝を表現することになっている人たちは、それが面倒な作業だと思って、しだいに退屈になっていったのでしょう。一方、週に一度だけ感謝を表現する人々は、長い間にわたって、それを新鮮で意味のある行動だと思い続けたのです