スタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』。

20年近くにわたり日本映画史上歴代最高の興行収入を守り続けた本作は、米国の映画批評家からも絶賛を受け、2003年に米国アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞。

ところがディズニーは公開当時、本作の米国での公開を渋っていたという。

今回は米Colliderから、両社の確執をご紹介する。

きっかけは『もののけ姫』?
ディズニーとジブリの間にある確執

なお、この契約には、ジブリ作品が英語圏の視聴者により親しみやすいものになるよう、英語吹き替え版の制作も含まれていた。中でも、『魔女の宅急便』(1989)と、『天空の城ラピュタ』(1986)は、ディズニーのファミリー向けブランドに見事に合致しており、成功は目に見えていた。

しかし、1997年から、スタジオジブリとディズニーの関係に暗雲が立ち込めはじめる。

この年、宮崎は、呪われた王子の視点から自然を描いた『もののけ姫』を発表。

本作は、世界的に大きな興行的成功を収めたものの、従来作と比べて観客の年齢層が高い上に生々しい暴力描写が散りばめられており、ディズニーが期待していた映画作品とは異なっていた。

旧友ジョン・ラセターが協力

その後、本作は2002年にベルリン映画祭で最高賞の金熊賞を受賞。名誉ある賞を受賞したことで状況は多少好転したものの、それでも説得が必要だった。

なお、この説得は、宮崎の旧友でピクサーの創設者であるジョン・ラセターの意向によるもので、詳細は公表されていないものの、宮崎による働きかけがあったという。

ラセターの説得の末、本作は、最終的にラセターが『トイ・ストーリー』(1995)や、『バグズ・ライフ』(1998)などのラセターの社会的信用や、『もののけ姫』に比べ残虐描写が少なかったことなどが幸いし、公開にこぎつけた。

しかしディズニーは、それでも本作の公開を懸念しつづけていたようだ。

興収面では失敗…。
しかし映画批評家はみな大絶賛

本作の公開は失敗に終わったが、その影響は今なお生き続けている。

今年後半には、映画配給会社GKIDSが毎年恒例の「ジブリフェス」の一環として本作を再公開している(なおディズニー側は再公開について「我関せず」といった態度を貫いている)。

かくして、世界中の観客が絶賛する本作は、米国でも成功を収めたのだ。