一般に利子のつかない金は、金融市場が健全であるときには投資先としては不利であることが多く、逆にそうした金が人気を集めるときは、実質金利がマイナスになるとか、金融市場が極めて不安定になるとか、投資家がリスク許容度を縮小せざるを得ないような特殊な場合である。

 

 今回、もし金先物価格が史上最高値を更新するようなことになれば、逆にそれはパンデミック、戦争に匹敵するような事件が起きているといった見方もできるかもしれない。

 

世界の中央銀行による金購入は13年連続増加

供給の伸びが極めて小さい中で、世界の中央銀行が金を買い入れている。ワールド・ゴールド・カウンシルによれば、2022年の世界の中央銀行による金購入は1136トンであった。13年連続で増加した上に1967年以降で最大規模となっている。
 
グローバル資産は国際通貨であるドルによって値付けされているが、中央銀行の金購入はドルへの信頼が揺らいでいることが要因ではなかろうか。