アインシュタインになる | 佐橘マドカのヨーロッパ音楽紀行

佐橘マドカのヨーロッパ音楽紀行

フランス在住ヴァイオリン弾き。
クラシック音楽のこと、ヨーロッパのこと、愛息子、愛猫、グルメや旅のこと…心に響いたことをつぶやいていきます。どうぞよろしくお願いいたします!

春のような2月。
明日からは冬に逆戻りのようです。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

私は今週より、フィリップ・グラス作曲のオペラ「浜辺のアインシュタイン」の稽古に合流しました。




今年9月の公演に向け、アンサンブルとコーラスは昨年からリハーサルを続けてきているとのこと。すでにチームのまとまった空気が流れる中、ヴァイオリンソロ担当の私は今週から合流です。

4時間超の大作オペラ。
音楽、舞台の融合したジュネーブオペラ座とジュネーブ音楽院のプロダクションです。



初日の休憩時間。


「あなた、舞台でカツラで弾くんでしょ?ヴァイオリンはアインシュタインだから。」

メンバーがにこにこと話しかけてくれます。

たしかに暗譜で舞台の上で弾くとの指示がきていたけれど、、


和製のこけしの私にカツラだけではアインシュタインは難しいのでは。。






真剣、厳しく、けど和やか。
とてもいい雰囲気で進んでいるリハーサル。


ミニマリストの音楽、を念頭に準備していたのですが、指揮者と話をさせてもらい、もっとこうしてみたい、ああしてもいいのかな、とさっそく浮かび上がってきました。
ひとつのセクションが30分以上繰り返し続くときもあり、曲のパワーに全員がトランス状態になりそうなときがあります。だからこそ、繰り返しを誰かが間違えてはみ出してしまったり、途中で起きる笑いの瞬間が、みんなの空気が緩む調和になります。

オペラ自体に休憩はなし。観客は公演中自由に出入りできます。
秋の5公演をやりきったら、自分の中の何かが変わっている、そんな予感。

卒業して何年か経っていますが、音楽院の一大プロジェクトに卒業生から指名してくださったことに感謝し、やれることはすべてやります。


…髪の毛、切ったほうがいいのかな?