遊び疲れてお腹がすいたので、3人は中華料理屋へ入った。
荒北は五目広東麺に餃子。
新開兄弟はチャーシュー麺、餃子、天津飯、麻婆豆腐、回鍋肉、酢豚、海老チリ、etc.……。
「まるで円卓だなァ。オマエラと飯食うとオレが少食に見えるわ」
「靖友、遠慮なくつまんでくれな」
「いや、いい……」
「さっきのパワーバー、残り4本しかないから大事に食べなくちゃ」
「マジかよ……」
荒北はゲッソリしている。
食事しながら次の予定を円卓会議する。
「次はどこ行く?」
「あ、オレ行きたいとこある!」
悠人が発言する。
「年末にオープンしたばかりの、大型スポーツ用品店!」
「おっ。いいじゃナァイ」
「ここから電車で2駅乗るけど」
「構わねぇよ。福袋、冷やかしに行こうぜ」
「冷やかすだけかよ、靖友」
「福袋なんて素人が買うもんだぜ。なぁ、悠人」
「うん!」
すっかり仲良しになった悠人と荒北を見て、新開は嬉しかった。
今日は悠人にキューピッド役を頼んでいたが、もうそんなことはどうでも良かった。
3人で過ごしているこの時間がすごく幸せだ。
またこの3人で遊べる時が来るのだろうか、来てほしい。
そう願っていた。
電車はギュウギュウに混んでいた。
「さすが三が日だな」
「みんな正月ぐらい家で過ごせヨまったくゥ!」
「潰れるうう~」
満員電車を滅多に経験することのない悠人は目を回していた。
息苦しくて上を向いて呼吸する。
足元もバランスを取るのが難しい。
だけど、たった2駅の辛抱だ。
頑張ろう。
……さわっ。
「!?」
悠人は尻部分に違和感を覚えた。
何かが触れている。
誰かの手が当たっているようだ。
しかし、なにか不自然。
……ぐにゅっ。
「!!」
明らかに尻を揉まれた。
痴漢だ!
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【主な登場人物】
新開······高校3年生。イケメン。天然。
荒北······高校3年生。元ヤン。ツンデレ。
悠人······中学3年生。新開の弟。