長い夜の底に佇んだまま
遠くにいる あなたを思っていました
烈しい 地の揺れの直中で
無常と向き合っている あなたの
その渇きを思っていました
私の言葉は 虚しく闇に彷徨い
言葉にならない祈りだけが
あなたの命を求めて 夜を越えてゆきます
見上げれば どこからか 星の数の祈りが
青く青く 夜空に瞬く
失われた命と
生かされた命と
やり場のない慟哭と
救われた小さな命への歓声と
不安に苛まれる霊肉と
諦めを知らない数多の手
すべてが混じり合い 強く命を求めて
星の数の祈りが 青く青く 夜空を染めて瞬く
〈 2016年4月14日 熊本地震の夜に〉
PHOTO 山本てつや
★★★
2016年4月14日午後9時26分、熊本。
あなたはあの夜を鮮明に思い出すことができるでしょうか。
8年の時が流れて…新たに多くの被災地が生まれてしまったこの日本です。
あの夜、激しく揺れる熊本に私たちが見たものは
闇と絶望と不安と哀しみ…同時進行で存在する光と救いと歓声。
崩れた熊本城の象徴的な姿の痛々しさ。
熊本地震で亡くなった方は276名。
避難の長期化で体調を崩しなどの関連死が8割とのことです。
4月3日の台湾地震では発生3時間後には開設された避難所の態勢の見事さに目を見張りました。
初動の素晴らしさに加え、数日後には宿泊施設でより快適に過ごせるなど、被災した人々の不安や体調を更に痛めないよう事前に練られていました。日本に必要な多くを台湾が教えてくれたと思います。
2024年の今、災害だけが破壊を生むのではないと人類は身を持って知りました。
戦禍が老若男女の人々を襲い、今この時にも救いを求める叫びがあります。
私たちの『今』の在り方が描いてゆく『それから』がいつか平和へと至りますように。
2024年4月14日 スノウ