ああ、天に帰ってゆくひとよ
繰りかえす哀しみのわけが
そこからは 見えるでしょうか
私には何もわからないけれど
ひとつだけ わかります
あなたがそこにいることで
空は 昨日より 青くなりました
12月4日夕、仕事を終え、スタッフルームに戻りスマホを開いた。
ペシャワール会の中村氏が銃撃され負傷とのニュースが目に飛び込む。
コーヒーを淹れて ひと呼吸し、帰り仕度をして表に出る。
歩き出す前にと再びスマホを開いた時、ニュースは「銃撃され死亡」と変わっていた。
それから私は、「なぜ…」という問いが渦巻くだけの時間のなかにいる。
まだ心の整理がつかない。
同じ人間として、同じキリスト教徒として、目指すべき高みにいた方だった。
見上げる「青」のひとりとして、私勝手に見つめてきた存在だった。
静かで柔かな物腰のあの方が抱いている、類を見ない継続性の激しい情熱。
銃撃が一旦収まると、ダッシュボードに崩れていた彼は意識を取り戻し再び顔をもたげたと云う。
その直後、正面のフロントグラス越しに胸を撃抜かれるまでの瞬間に彼は何を見ただろうか。
【 憤りと悲しみを友好と平和への意志に変え、今後も力を尽くすことを誓う 】
2008年現地でペシャワール会のメンバーとして働く同労者であった伊藤和也さん(31歳)が誘拐殺害された際に中村氏はそう語った。
私たちは今、この言葉をもういちど深く思いめぐらすべき時に直面していると思う。
2019年12月6日 スノウ
★追記
中村氏の追悼番組が今夜NHKのEテレで放映されます。
よろしかったらご覧ください。
12月7日 午後11時00分~午前0時00分です。
以下に番組案内を添付いたします。
選 追悼 中村哲さん「武器ではなく 命の水を」
今月4日、戦乱が続くアフガニスタンで干ばつと戦ってきた医師・中村哲さんが銃撃され亡くなった。
「戦乱は武器や戦車では解決しない。農業復活こそがアフガン復興の礎だ」と白衣を脱ぎ、用水路建設に乗り出した中村医師。
長年の努力の末、用水路は完成、大地に緑がよみがえり、人々の平穏な営みが再び始まろうとしている矢先だった。
中村さんをしのび、その15年にわたる不屈の歩みを記録した2016年の番組を再放送する。