金木犀 そして 帰り道は いつも少し寂しい 俯きかげん 雨があがった秋分の午後 メトロの車窓に映った自分の顔に 「それでも しあわせ」と微笑んでみる いつからか 無邪気な憧れを生きられなくなって 核心と目を合わさぬように 生きている 許される分を量る分銅を 積み上げながら 見上げた空の青 青の手前には 眩むほどに香る 金木犀 七日に満たない命を咲き 秋雨に潔く散る 小さき花の群れ PHOTO 山本てつや