人魚の詩 | 思い草へ              

思い草へ              

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きっとそれは 初めからの約束 
私の尾びれに魅かれた あなたと 
あなたの強い足に焦がれた 私との 

水のなかの私を美しいと言う あなたに 
水のなかで生きることはできない 
水からの解放を夢みる私が 
水の外で 長くは生きられないように 

ああ、私の薄い尾びれで 大地は泳げず 
あなたの逞しい足で 水面は歩めず 
ふたりの重力と浮力がつりあう 束の間を待って 
波間へと浮上する  淡紅に染まる 尾びれ

別々の子宮に宿ってしまった双生児のように 
もうひとりを求めて  人魚は詩う 
泡と消えることさえできずに 


PHOTO HIDE


冷たい雨の日となった東京。
11月上旬の気温に、今年初の厚手セーター登場でした。
新しい季節を感じる今日、あなたはいかがお過ごしでしょうか。 

さて、今日の詩。
雨に濡れた窓の内側で お魚たちの写真を見ておりましたところ、
何とも人魚な気持ちに…(笑)
人魚姫の気分で、叶わぬ恋を描いてみました。
いかがでしょう?
                                  スノウ