思い草へ野を渡る 青風のうたに 小さき鈴花の白 朝露を抱いて揺らげばその微かな音色に和して また季節が少しだけ巡るぎこちない指先 手探りの仕草で 思いの暦をめくる 幼い萌芽をいつしか青々と繁らせる 時のみわざを信じていて野を満たし広がるのは一粒の枯れ種の内にある 命を蘇らせる約束一面に咲く 瑞々しく艶やかな再生の証しと信じきった静けさPHOTO HIDE